読書リレー(42) 人間にとっての真実ー「人間の大地」
つくづく、小さい時にこういう本を読んでおけばなと思わざるを得ない読後感でした。
サン=テグジュペリによる小説。個人的に小説はあまり好きではありません。冗長かつ婉曲的な表現が多く、また読み手に多様な解釈をさせるような描写が多く含まれているので、どのように解釈すべきなのか困ってしまうことがあるからです。どちらかというと評論ちっくな文章の方が、すっきりと内容がわかるという「読後感」があるので、どうしてもそっちに目移りしてしまいます。
あと決定的なのが、私の集中力。小説は往々にして長いので、集中力が持ちません笑 なので、小さい時からずっと敬遠し続けて来たという背景があります。
それもあり、こういう良質な小説に今の年齢で巡り会うと、「もっと早く読んでおけばよかった!」という気持ちにならざるを得ないのです笑 これだけでなく、他にもたくさんありますし、これからもまた私は後悔し続けていくのでしょう笑
さて、サン=テグジュペリというと星の王子様が有名ですが(これも、中国語版しか読んだことないので、消化不足…笑)、国際郵便のパイロットだったということから、そこで経験したことをベースにしたものがこの小説です。もしかすると個人的にはこちらの方が好きかも、と思える内容です。それは、人間に関しての、作者の考えがストレートに書かれているからです。(やはり、自分はストレートなものがお好みのようです。)
人間とその欲求を理解したいと思えば、また、人間の内に潜む本質的なものに着目して人間を捉えたいと思えば、あなた方一人一人の真実のどれが正しいか、正しくないかといった議論をやめることだ。
すなわち、Aが正しいとか、Bが正しいとかという議論はせずに、一人一人が真実だと思う真実を、排除せずに吸収すべきだ、というのです。
真実は論理によって簡単に作り上げることができる。大事なのは論理ではなく、その真実を真実と認識することそのものにあるのだ、ということではないでしょうか?