読書リレー(55) いつやるの?は大事「When: The Scientific Secret」

やはり、「どうやるか」「なぜやるのか」「どうやってやるのか」と同じくらい「いつやるのか」は重要だということです。

 

ダニエル・ピンク氏の最新著。まだ日本語訳はされておらず、私は洋書で読みました。彼らしく、メッセージがとてもクリアであり、「いつやるの」にこだわる必要がある、という点について様々な視点から文章が綴られています。

 

特に、最初では、そもそも人間の身体的メカニズムに搭載されている時間感覚について再考する必要があることを投げかけてくれます。特に本書では、人間の感情について、ビッグデータを用い、ツイッターの投稿から読み取るというユニークな研究を紹介しております。ツイッターの投稿で読み取れる人間の感情(ポジティブ/前向きか、ネガティブ/後ろ向きか)についてデータを取ったところ、人間は朝起きてから夜寝るまで逆U字の形で感情がぶれることがわかったのです。すなわち、朝起きてすぐと夜の投稿はポジティブなものが多かったものに対し、昼は比較的ネガティブなものが多い、ということがわかったと言います。他の実験データでもこの傾向性が実証されており、人間が本来持っている心理的なメカニズムによるものと結論づけられています。

 

よくよく考えてみれば、現代における「時間」という概念は、近代以降発明された、社会的な概念であるわけで、人間はその時間という概念を生まれた後に習得していくことを迫られています。しかしその時間というのは、人のメカニズムがまだ全て解明されていない100年以上前の段階で形成されたものですので、もちろん人間の身体と、時間という社会的概念にミスマッチが生じてしまうことになります。

 

これを読んだ時、過去に読んだことのある「身体の零度」を思い出しました。時は明治時代、文明開化とともに様々な近代的概念を取り入れていきました。その中で当時の人々は、自分たちの身体の習慣を、近代的社会概念にマッチさせていく必要性が生じたわけです。例えば、日本人は江戸時代まで、同じ側の足と手を同時に前に出して走っていたそうです。(今であれば、左手を前にした時には、右足が前に出ますが、右手を前に出すと右足が前に出てしまっていたそうです)これではいけないということで、特に軍隊での教育の時に、走り方を矯正されたと言います。

 

 

このことからもわかる通り、必ずしも社会的概念と人間の身体がマッチしない可能性があるわけです。こう考えると、人間のメカニズムについて、今ある社会的概念にとらわれない形での再考が必要なのかもしれませんね。

 

では、では