読書リレー(56) 糖質制限ー宗田哲男「ケトン体が人類を救う」

最近ブームの糖質制限法。まだまだ科学的な解明が必要ですが、妊娠糖尿病にも効果的と言われる日が来るのかもしれません。

 

ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか (光文社新書)

ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか (光文社新書)

 

 

著者は産婦人科の医師で、自身の糖質制限の成功経験をベースに、糖質制限について持論をまとめた本です。この本が他の本と異なる点は、産婦人科の医師らしく、妊娠糖尿病の患者に対し糖質制限を中心とした療法を実施、多くの成功例を生々しく掲載していることです。

 

この本を見ると、多くの方が妊娠糖尿病で苦しまれているんだなと痛感します。そうした中で、既存の医学理論に固執するのではなく、患者のために積極的に効果的と信じる療法を実施し続ける著者の信念の強さにもまた驚かされます。

 

この本でも書かれていることですが、常識は往々にして崩れ去るものです。例えばコレステロール。以前はコレステロールは悪の象徴として、取りすぎの注意喚起がなされていたほどです。よく思い出すのは、私が小さい頃卵を食べ過ぎると、「コレステロールが高いからダメだ」とよく言われていました。しかしながら研究成果の結果、2015年に厚生労働省は「コレステロールの取りすぎは健康に悪くはない」という見解を出しています。すなわち、今までの常識が崩れ去ったのです。

 

それと同様に、人間のエネルギーに欠かせないのは糖質であるという常識が、いつの日か撤廃される時が来るかもしれません。これら生物学・医学に関連する知見は、倫理上実験をしづらいという点から、究明には多大なる時間を要しますが、将来的には「白米」を中心とした炭水化物は、ジャンクフードやトランス脂肪酸と同様、体にとって悪という認識に変わる日がやって来るかもしれません。こればかりはどうなるかはわからないので、糖質制限をめぐる議論に、今後も期待ですね。

 

では、では