久保亨・瀬畑源『国家と秘密 隠される公文書』〜読書リレー(90)〜

 Kindleの日替わりセールで安かったので、思わず即ポチした一冊です。でも、トピックがタイムリーなので、お買い得感満載です。笑

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

国家と秘密 隠される公文書 (集英社新書)

 

 

特定秘密保護法で大いに盛り上がった2014年に出版されたこの本。すでに3年以上が経過していますが、今も公文書に関する議論においては最先端を走っているような印象を受けます。今まで公文書という範囲は、特定秘密保護法が制定されてからはあまり注目されてこなかった分野ですが、この本を見ると、あまりにも世界各国に比べて遅れた日本の状態を見る限り、なんとかしないといけないのではないか?と考えさせてくれます。

 

この本は一貫して、「日本の公文書の管理制度は、他の国家と比べて著しく遅れており、それが国家の運営にとってネガティブな影響を与えている」という主張を持っています。この主張を支える上で、様々な事実が述べられているのですが、そのどれもがファクトに基づいており、かつ圧倒的な差が生み出されているために、日本人として絶望せざるを得ないほどに壊滅的な現状を浮き彫りにさせてくれます。

 

例えば、公文書の管理について、日本は他の先進国はおろか、いわゆる途上国と言われるような国家と比較しても、大きく遅れていることがわかります。文書の管理方法だけでなく、公文書をむやみに廃却するという点では、日本はかなり劣悪な環境に属していると言えます。特に久保亨氏が浮き彫りにした、公文書管理の国際比較においては、日本では公文書管理の仕事に属する人が他の国家と比べて圧倒的に少ない事実があります。

 

自分もこの分野については無知だったこともあり、この事実はある意味衝撃的でした。もっと公のレベルで、この点がしっかりと問題視されるのではないか、そう強く感じた一冊でした。

 

では、では