下野隆祥『世界一のサービス』〜読書リレー(96)〜

 4月になりました。新しい一年の始まりではありますが、このブログでは継続して読んだ本のレビューを行なっていきたいと思います。

世界一のサービス (PHP新書)

世界一のサービス (PHP新書)

 

 

高級レストランのサービスマンの視点から見た、サービスに対する持論を展開する本です。新書らしくコンパクトな一冊に、経験則から導き出されたサービスに関するいろいろな理論が散りばめられていて、私のような高級レストランには疎いような平凡サラリーマンでも、「高級レストランのサービスとはどういうものなのか?」という問いに対する基本的な考え方を提供してくれる本となっています。この観点から見ていくと、高級店などで見られる「サービス料」というものがいかに妥当なのかがわかって来ます。

 

この本で紹介されている考え方は簡単にはまとめられないのですが、それでもあえてするのであれば、「サービスマンは、お客様に敬意と愛情を持って接し、料理を出すタイミング、ワインを注ぐタイミング、お水を注ぐタイミング等、全神経を集中してお客様にとって快適な空間を演出する。」と言えるでしょう。そして「快適な空間」というのがポイントで、これがケースによって異なるから、難しい。

 

例えば、ある常連客が来たとして、いつも飲まれるワインがあったとします。しかしその日は顔色が悪かったとして、「ワインはいつものにされますか?」と聞くのが果たして正しいのかどうか、というようなケースです。これになってくると、経験則から、ひたすらセンスを磨き上げていくしかないのではないのではないかな、と思ってしまいます。

 

しかし、だからと言って臆することなく、著者は様々なシチュエーションで、「これだったらどうするか?」というのを常に考えていたというのです。いわゆる「意図的な練習」というものなのですが、こうした熱意は本当に凄さを感じます。

 

ビジネスマンも、接待などでレストランを使うこともあるかと思います。サービスマンの立場から、テーブルマナーを考えてみるのもいい機会かもしれません。

 

では、では