木村亮示、木山聡『BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制』〜読書リレー(111)〜
BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 木村亮示,木山聡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/02/02
- メディア: 文庫
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外資系経営コンサルティングファームの中でもトップの一角とされるボストンコンサルティンググループ。そのシニアパートナー&マネージングダイレクターである二人が、BCGでの人材育成について綴った本です。
外資系コンサルというと実力主義で、「昇進か、さもなくばクビか(Up or Out)」という言葉があるほど厳しいと有名な業界ではありますが、一方で、商品などの提供ではなくあくまで人(の知識やノウハウ)が商材であることから、人材育成についてはどのコンサルティングファームも積極的に取り組んでいます。この本ではそんなBCGの人材育成についてまとめてあります。
内容としては、他の人材育成本とさほど変わらないように見えるのですが、要素要素で「これは」と思うものがいくつかあり、とても勉強になります。特に私も、
まずは、人材育成において、スキルのみならずマインドセットも合わせて考えなければならないという点。ここでいうマインドセットとは以下の要素を指します。
①他者への貢献に対する思い
②なんどもチャレンジを継続できるおれない心
③できない事実を受け入れる素直さ
そして、こうしたマインドセットは比較的短期間で醸成できるといいます。醸成の方法は、小さな成功体験を積み重ねる、程よく失敗や挫折の体験を生み出させるというような、体験づくりが必要になってくるというのです。
また、もう一つは人材のPDCAについてです。PDCAサイクルというと、何かの行動における指針と言えるべきようなもので、ビジネスパーソンにとっては非常に耳になれた言葉かと思いますが、人材育成の場ではあまり頻繁に使うような言葉ではないと思います。
本著では、人材育成におけるPDCAとして、具体的に以下をあげています。
Plan 任せる仕事の難易度をコントロールする
Do 失敗させる余裕を持つ
Check フィードバックのタイミング/頻度をコントロールする
Action 行動を意識してアドバイスする
特に、個人的に目から鱗だったのは、Doの「失敗させる余裕を持つ」という点。失敗させるのか!と思いましたが、振り返ってみるとそれぐらい余裕を持って部下の仕事をマネージしないと、管理者としては全体の仕事を考えた上ではよくないというわけです。私も人材育成に携わる立場として、色々勉強して来ましたが、「失敗を組み込む」という考え方はあまりありませんでした。なぜならば、失敗というものは本来避けるべきものであり、たとえ小さな失敗においても育成にとってマイナスになると考えていたためです。しかしBCGでは、失敗経験を人材育成の中にビルトインし、そしてそのためには比較的余裕を持った仕事のマネジメントをする、という考え方なのです。これはとても参考になりました。
まさに人材育成の面で苦労している感が否めない私ですが笑、この本を片手にまた頑張ってみたいと思います。
では、では