ケン・ シーガル『Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学』〜読書リレー(118)〜

 

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

 

 Kindle Unlimitedの読み放題対象の本だったので、思わず即ポチした一冊です。意外にも分量があり、とても楽しく読むことができました。

 

この本は、いうなればアップルの哲学である「Simpleに考える」をまとめた本です。アップルの様々な製品を通じて、どのようにアップルが自身のSimpleさを体現してきたかを、特に広告やPRの観点からまとめています。

 

アップルが追求するシンプルさは、まず製品そのものからにじみ出ています。iPhoneは特にその典型例で、ホームボタンが一つしかありません。ここまで究極的にシンプルに持っていくことは、実はなかなか難しいことかと思います。

 

さらに面白いのが、この哲学を製品のみならず会議や組織といった業務の面でも体現しているという点です。スティーブ・ジョブスはその点非常にミニマリストであり、参加の必要性を感じないと思った人に対しては、会議の途中であっても「君はこの会議には必要ない」と述べていたと言います。しかし、著者からすると、スティーブ・ジョブスは、一般的に言われる冷徹な経営者というわけではなくて、実態はこうした「白黒はっきりつける」タイプの人だったようです。

 

そんなスティーブ・ジョブスが一番嫌ったのは、大企業的なあり方だと言います。すでにアップルは世界的にも成功した企業であり、多くの従業員をかかえる大企業といってもいいのですが、「プロジェクトの成果の質は、そこにかかわる人間の多さに反比例する」として、なるべく小さな組織で在ろうとしていたと言います。こうした在り方は、既存の大企業のやり方に対して疑問を投げかけているように見えます。

 

では、では