私が海外MBA留学に求める3つのもの

さて、タイトルも変更し、本格的にMBA留学記にシフトしていきたいと思います。引き続き読書リレーは続けてまいりますが、徐々にMBAに関する記事を増やしていく予定です。

 

ビジネスパーソンにとって不思議な響きを持つMBAという言葉。書店に行けば多くの書籍のタイトルで「MBA流〜〜」「MBA的○○」などを付したものが多く、人々の興味関心は高いものと思われます。しかし、具体的にどのようなことが教えられているのか、一体どういうようなプログラムなのかはあまり知られていないと思います。

 

私は幸いにして、海外トップスクールの一校であるINSEADに合格することができ、8月から留学を予定していますので、その実態について余すことなくこのブログで綴っていきたいと思います。従来と同じく「毎日」を目標に更新できたらと思います。

 

 

そもそも、人が何かをするには理由があるように、私が海外MBAを志したのも理由があります。MBA留学をする理由は人それぞれですが、私は自身の置かれている立場と境遇から、次の3つが必要と感じ、MBA留学に至りました。

 

①ビジネススキルに関する体系的知識

まず何よりも、ここがMBAを考慮する上では一番かと思います。そもそもビジネスに興味がなければ、MBAを志望する理由はありません。このビジネススキルの習得こそがMBA取得モチベーションの第一歩になると思います。

 

私の場合、学生時代は人文系の先行だったため、ビジネスとは程遠い世界で学業に励んでいました。その後インターンシップを経て海外ビジネスに興味を持ち、事業会社に就職しました。ただ、当時はビジネスに興味を持ったというよりも、人文学の延長線上で、異なる社会的背景を持つ人々が仕事を通じて協業することの組織論的な部分に興味があっただけにすぎません。ですが、業務を通じてますます面白さに魅了されていくことになったわけです。

 

ここでハードシップに感じたのが、ビジネスに関する自分の知識量です。足りない分は読書などを通じて自習で補っていたのですが、やはりパッチワーク的なつぎはぎな形になってしまい、体系だった考えを持つには至りませんでした。ここをなんとかしたいという思いがずっとあったのが背景としてあります。ここから、何かきちんとした形で勉強できないかなと思い、最終的にMBAにたどり着いたわけです。

 

私がMBAでビジネススキルを習得しようとしたもう一つの背景が、自習学習のもう一つの欠点にあります。それは、「自分の知識量を簡単に証明できない」というものです。自習によって質の高いハードスキルの習得はできますし、現に私もそうやって他のスキル(中国語)を学んできました。しかしながら、この世の中は性悪説。あまりスキルがなくとも自称で語れる輩がわんさかいるなかで、「自分は○○に自信があります!資格や実績ないけど!」といっても、ポテンシャルを見込まれる以外は誰も認めてくれません。私はこれを独学でマスターした中国語で痛感していました。資格がないので私を知らない人からはどうせかじったぐらいでしょ?としか扱われません。しかし実際に私が中国語を話すと、「ここまで君が話せるとは思っていなかった」と口を揃えていうのです。この点では、シグナリング効果というのはとても大事で、何か自分の実力を証明するものが必要になってきます。その点では、MBAというのは非常にわかりやすいシグナリング効果を発しています。非常に単純かつ安易な考えですが、まあ真理はついていると思うので、志した次第です。

 

 

②質の高い海外人脈

上記の①の理由は非常にオーソドックスな理由ですが、ただしこれだけでは「だったら普通に通信講座いけよ」と言われるかと思います。確かに、上記①の理由だけでしたら私もこの手段を採用したかと思います。実際、近年のオンライン学習は目覚ましい発展を遂げており、学校に通わなくても知識習得のメソッドはいくらでも存在します。しかし私にとっては、これらではカバーできない私のニーズがありました。それがこの海外人脈です。

 

トップスクールとなると、教授陣はもちろんのこと学生も優秀な方が世界中から集まっています。それらの学生が卒業後形成する卒業生人脈(通称Almuni Network)は非常に有益なものと信じており、それを得たいがために海外MBAを志していると言っても過言ではないかもしれません。 

 

マッキンゼーが予測する未来』で描かれているように、今後は先進国の人口減と発展途上国のさらなる発展に伴い、今後グローバリゼーションがさらに深化していくことが予想されます。ただしここで取り上げられるグローバリゼーションというのは、従来における、トランスナショナルなレイヤーにおける画一性への収束という動き、いわゆるアメリカナイゼーションとは異なり、様々な文化が入り混じったカラフルなグローバリゼーションであると言えるでしょう。

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

 

 

こうした中では、ビジネスを取り巻く環境も複雑かつ多様になることが予想されるといいます。明日には、日本企業が南アジア市場で、アフリカ企業と競合関係になる、なんてこともあり得るわけです。こうした中で日本に圧倒的に欠けている視点が、このダイバーシティと国際的視野だと思うのです。

 

こうした中で、海外トップスクールが形成するこうした人脈は非常に魅力的に思えました。特に欧州のトップスクールでは、一つの国籍にとらわれない卒業生ネットワークが形成されており、まるで未来の絵図を映し出したような姿となっています。これらを享受できるだけでも、なかなか大きなメリットがあるように思えました。

 

トランジション

最後が、この「トランジション」という考えです。移行期間と直訳されますが、私はこれを求め、MBAに留学したいという気持ちをさらに強めました。

 

上記の通り私は大学卒業後どちらかというとアカデミックな想いに後ろ髪を引かれるような状態で事業会社の営業職についていたのですが、入社して数年経つうちに、自分にとってのキャリアを真剣に考える時期がやってきました。これは誰もが経験するようなことであり、「今の仕事が本当に自分にとってふさわしいのか」「他にも自分にはやりたいことがあるのではないか」というおぼろげで曖昧で答えの出ない、かつ毎回リピート再生のように定期的に繰り返される問いです。しかし現実は甘くなく、現状転職したりすると、第二新卒以外では、前職の経験を生かしたいわゆる線型的な移行しか用意されません。そこに違和感を感じていたのも事実です。

 

そんな折、よく金井壽宏教授や中原淳教授が日本のビジネスパーソンのキャリア論について研究をする際に、よく「トランジション」という概念装置を利用していました。引用元に戻って読んだのですが、このトランジションという考えが今の私に非常にマッチしているような気がしたのです。

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トランジションというのは簡単に説明すると、何か人がアイデンティティややり方を変える際に、変わる前と変わる後の間に存在する移行期間のことだと言います。ここで過去を振り返り、過去に自分を支配していたスタイルや考え方を放棄または転用し、新しい自己イメージを形成していくのだと言います。

 

この点では、MBAというのはトランジションにもっともふさわしい経験だと思っています。自身のキャリアに支障が出ない範囲で一旦古いものから離れ、様々な業界・国からやって来る学生がつくりだすある意味「ニュートラル」な環境に身を置くことで、内面の再方向づけや自分自身の再定義を図っていく、絶好の機会だと思うのです。実際に、MBAに来る学生のほとんどは、卒業後は入学前の会社以外で働く比率が圧倒的に多く、中には、職種・職場・業界を全て変える卒業生も少なくないと言います。こうした環境に身を置くことは、人生100年とも言われる現在、残りのキャリアを考えると悪くはないと思うのです。

 

ということで長々と書いてしまいましたが、これら初心を忘れず、こうした目的がMBA留学後に果たして満たされるのかどうか、今後経験をベースに語っていきたいと思います。もしこれらが全く満たされないようでしたら、このブログは一転して「MBA不要」にシフトしていくことになると思いますが笑それはそれでネタとして面白いと思うので、お付き合いいただければ幸いです。

 

では、では