日本語を使えば中国語は簡単にマスターできる

今までこのブログでは、INSEAD MBAに在籍する学生として、INSEADとはなんぞや、MBAとはどういうものか、リアルな状況をお伝えして来ました。このコンテンツに加え、中国語の学習方法についても紹介していきたいと思います。何を隠そう私は中国語を独学でマスターした人間です。一人でも多くの人に中国語に興味を持ってもらいたいと思い、中国語に関するトピックも増やしていきたいと思います。

 

なぜ私が中国語なのか?このつながりに不思議を感じる方もいらっしゃるかと思いますので、私のバックグラウンドを簡単に説明したいと思います。今でこそMBAの学生ですが、実は私は過去10年にわたって中国語と関わってきました。当時海外に行ったこともない私が中国語を勉強したのは10年前。大学の第二外国語で中国語を履修していた私は、物は試しにと中国語圏である台湾に初めて海外旅行先としていきました。そこで、流暢に日本語を操る台湾人の多さにびっくりします。台湾は日本語学習者の割合が世界地多いことでも有名なのですが、街ゆく人ほとんどが日本語を喋れたようにに記憶しています。一方の私は、1年間中国語を履修していて発することのできた言葉が「謝謝」くらいという体たらく。これではいけないと一念発起し本格的に勉強を始めました。

 

海外MBAにも行っておきながら英語もろくに話せない(そしてMBA出願時にはTOEFL等の試験で大いに苦しんだ)純粋なるジャパニーズの私ですが、英語以上に流暢な中国語を話すことができます。MBAでも、中国人のクラスメートに、「Dajiliは中国語の方がうまい」と言われるくらいです笑 

 

なぜここまで流暢に話すことができるのか。というのも、この10年の間、合算すると一年の半分を中華圏で過ごし、ビジネスおよび学術の両面にわたって、中国語を使う機会に恵またからだと思っています。まず学術の方面から。大学の学部時代には課外活動を通じ、講演会・国際会議の同時通訳や中国語学術書の日本語訳にも携わりました。そしてビジネスでは、価格交渉や契約締結等、中国語話者を相手とした中国語による商談を通算で500回以上行ってきました。また現地にも駐在し、ローカルスタッフの育成から現地販売会社の制度設計など、様々なシーンで中国語を使用する機会に恵まれました。

 

また、この10年間で様々な中国人と接して来ました。ビジネスの際には現地社員や取引先の社長、学術面では教授や出版関係者などと中国語を介してコミュニケーションをとりました。学生時代には、中国の工場で働くブルーカラーワーカーと寝食を共にした経験があります。MBAでは、中国のエリートと交流して来ました。また地域も、北は内モンゴルから南は深センまで、縦に横に様々な人々と中国語を使いコミュニケーションを取って来ました。

 

このように様々な形で中国語を使って来ましたが、二つの重要なことに気がつきました。まず一点目として、「中国語ができることのアドバンテージは非常に大きい」ということです。これは私だけでなく、私の身の回りの中国語ができる日本人全てに共通して言えることです。特に日本人の間では、ビジネス上や個々人のキャリアにおいて、中国語が果たす役割というのはとてつもなく大きいのです。

 

想像してみてください。もしあなたが日本の企業に勤めているとします。鉄道など日本国内の需要に絞った特定の業種を除き、ほとんどのビジネスにおいて海外向けのビジネスがあると思います。もしあなたがそうした事業に属していなかったとしても、あなたのデスクの隣の事業は、海外向けのビジネスを行なっている可能性が非常に高いと思います。その海外向けのビジネスの中で、どこの国向けが一番大きいでしょうか?中国向けが、一位とは言わないまでもかなり上位の地位を占めているのではないでしょうか?

 

ここからもわかる通り、ビジネス面における中国との関係というのは年々深くなって来ています。実際、日本の貿易相手国としては、中国はここ数年アメリカを差し置いてトップの座に君臨しています。またその関係性も多岐にわたっており、製造業などのハードな分野から、観光などのソフトな分野まで、まさにありとあらゆる分野で中国が切っても切れない存在になっていると思います。そして、その中国人のほとんどが、英語をうまく話すことができません。実際東京の街中で目にする中国人の英語は、あまり拙くてわかりづらいかと思います。ビジネスの面においてもそれは同じ現象が起きていて、少なくとも私が会って来たビジネスパーソンの中で、英語を流暢に喋ることのできる人は全体の5%もありません。すなわち、中国語をわかることの需要というのは非常に大きいのです。

 

一方で、日本において中国語を理解することができる日本人というのは非常に限られている印象を受けます。現に私の過去の職場においても、中国におけるビジネスの比率が非常に大きいにも関わらず、中国語話者は一事業部につき多くても3人ほどです。一事業部が30人ほどでしたので、10人に1人な訳です。もちろん、海外ビジネスにおいて中国の占める割合は10%でしょうか?そうではないはずです。

 

すなわち、現在日本においては中国語における需要と供給の大きなアンバランスが起きている状況なのです。この中でもしあなたが中国語をマスターしたとしたらどうなるでしょうか?そう、こうした需要を取り込むことができ、所謂引く手数多の人材になることができる、ということなのです。実際私の身の回りでも、中国語ができることによって昇進が早まったり、非常に早期のタイミングで海外駐在のチャンスをつかんだりと、メリットを享受しています。もちろん中国語という語学力だけでなく個々人の能力も見逃すことはできませんが、中国語がキャリアに取ってプラスになるということはおわかりいただけたかと思います。

 

二つ目に気づいたこととして、「中国語は、日本人にとっては非常に勉強しやすい言語である」ということです。もちろん、中国語と日本語は同じ漢字を使っているから勉強しやすいと巷では言われていますが、一方で同じ漢字でも使われ方が全然違うという人もいます。どちらも正しいのですが、私にとっては漢字を共有していることのメリットは非常に大きいのです。

 

具体例を説明しましょう。私が台湾に留学していた頃、中国語の塾に通っていた時期があります。私が入学したアドバンスコースにはクラスメートとして世界中から学生が来ていたのですが、欧米系の学生によくみられたのが、「会話はできるが文字は全くかけない」という状態でした。すなわち、小さな頃から興味関心があり、必死に勉強してなんとか会話はできるものの、漢字という難解な文字の記憶が非常に難しく、未だ漢字がかけないというものでした。日本人は、確かに少し書き方は異なりますが、ほとんど同じ形で漢字を共有していますので、非常にとっつきやすいのです。

 

どうして「非常に勉強しやすい言語である」という点に至ったのか。これは私のMBAの経験が大きく影響しています。私がMBAで勉強していた際、これも世界中から様々なバックグラウンドの学生が来ていました。その中でも、フランス人とスペイン人、イタリア人は彼らが話す英語に非常に特徴があり、聞いただけですぐに彼らの出身国がわかるくらい他とは違ったアクセントや発音を有していました。例えばフランス人だと、rの音が若干「h」になります。これはフランス語が「r」を「h」に近い音で発音するからであり、準備するという意味のprepareが「プリペア」ではなく、「プヒペハ」というかわいい音に変わります。

 

そこで、「どうして彼らは共通してこうした話し方なのだろう」という素朴な疑問が湧きました。そこで見つけた興味深い本が、『フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる本』という本でした。

フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる本

フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる本

 

この本では、文字通り、同じラテン語系に属するフランス語・イタリア語・スペイン語は、文法・語彙が非常に似ていることから、3つの言語をセットで勉強した方が非常に効率的だ、という主張の元、様々な文法について3つの言語を比較して載せています。比較言語学のまさに王道とも呼べるべき本なのですが、この本を手にとって気づいたのが、これら言語と英語の類似性です。

 

例えば、前出のprepareという言葉、フランス語でも実はpreparerとほぼ同じ。他にも経験という意味の英語はexperienceですが、フランス語もexpe'rienceとなります。英語とフランス語はとても似ている。そして、どうやらフランス人は、フランス語の考え方そのままに、英語を話しているのではないか?そう考えるようになりました。出ないと上記の発音の違いが説明できないからです。これは言い換えれば、フランス語話者は、もともと彼らの母国語であるフランス語を話すように、英語を話していると言えます。フランス語の言葉を英語流に変えて話しているわけです。これはまるで、関西人ではない別の地域の人が冗談交じりに関西弁を話すとき、「ありがとう」を「おおきに」に変えたり、少しイントネーションを変えたりして、関西弁風に変えて話しているのと同じようなものです。もっとも関西人からすると「エセ関西弁」として嘲笑の的にはなりそうですが、それでも言語として伝わっているので問題ないわけです。

 

あれ、これと同じことが中国語と日本語にもいえるんじゃないか?そう思ったのがこのタイトルである「日本語を使えば中国語は簡単にマスターできる」という視点です。中国語と日本語には共通点が非常に多いです。ならばいっその事、その日本語で使える知識を全部活用すれば、中国語はものすごく簡単になるのではないでしょうか?そしてマスターすれば非常にメリットの多い中国語を、比較的短時間でものにすることができる。そう考えたのがこのメソッドの出発点です。

 

このメソッドについて、今後このブログを通じて詳細を説明していきたいと思いますが、ポイントとなるのは大きく以下の三つにまとめられると思います。

 

①文法:中国語の文法はあってないようなもの。日本語脳で8割は攻略できる。

②語彙:難しい言葉を喋ろう。難しい言葉ほど、日本語と中国語は同じ。

③発音:日本語の音との親和性を掴もう。

 

現在中国は何かとトピックになる国です。経済が芳しくないとニュースが飛び交う中、米中貿易摩擦の影響を受け、ますます先行きがわからないのが現在だと言えます。しかしながらどういったシナリオになるにしても、中国の人々が豊かになっていくに連れて、日本における中国の存在感はますます大きくなることは間違いようのない未来かと思います。そうした中で、中国語を少しでも理解することができれば面白いと思いませんか?そして英語ではない別の言語である中国語という武器を手に入れ、キャリアを高めたいとは思いませんか?このブログがこれらモチベーションに応える一助となればこれほど嬉しいことはありません。

 

このブログでは引き続き上記三つの観点について、私が過去中国語を使って遭遇した様々な小話を交えながら詳細に説明していきたいと思います。もちろんMBAの更新も続けてまいりますがこちらもどうぞお付き合いください。

 

では、では