Se projeter dans l'avenir 〜INSEAD MBA留学記〜

2018年8月からINSEAD MBA留学。MBAで感じたことについてつづります

ブルー・オーシャン戦略とINSEAD

ブルー・オーシャン戦略。ビジネスに携わる方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。肌感覚では、INSEADよりも、ブルー・オーシャンなら聞いたことがあるという方のほうが多いような気もします笑

 

このブルー・オーシャン戦略、現在INSEADに在籍するW・チャン・キムレネ・モボルニュが2005年に提唱した概念で、競争の激しい、企業同士が血で血を洗う「レッドー・オーシャン」で戦うのではなく、競争のない「ブルー・オーシャン」を創造していくべきだという概念です。この書籍の出版以来経営理論の本においてはベストセラーとなり、世界中のビジネスパーソンに愛されている概念なのかなと思います。

 

 

日本でもこのブルー・オーシャン旋風は非常に勢いがあり、東京大学京都大学早稲田大学にも「ブルー・オーシャン・インスティテュート」が存在し、ブルー・オーシャンの事例研究が行われるといいます。そして「ブルー・オーシャン・シフト」に見られるように日本でも様々な事例が見られるとしています。

 

この理論の特徴は、従来の競争戦略論とは一線を画しています。というのも、W・チャン・キム本人曰く、従来の競争戦略というのは、マイケル・ポーターの「競争の戦略」で見られる「5 Force」理論にあるような、ある意味「いかに他者と差別化を図るか」というものでした。この理論においては、市場の分析から競合の分析に至るまで、敵と戦場を理解し、そうしたある種他者の存在によって位置付けられる自社のケイパビリティ・アイデンティティをうまく活用していくことが大事だとされてきました。すなわち、戦略とは「いかに競争するか」というのが従来の考え方でした。

競争の戦略

競争の戦略

 

 

そこでW・チャン・キム教授は「競争するのではなく、どうやって新しい市場を作り出すのか」という点に着目したそうです。そうして企業研究をしていくうちに、一つのパターンを見出した。それがブルー・オーシャン戦略の肝である「今までに顧客として捉えられていなかった顧客の捕捉(Capturing non-customer)」だといいます。それを理論化したのがこの戦略というわけです。

 

よくブルー・オーシャンを競争の比較的少ないニッチ市場と捉えて表現する方がいらっしゃいますがそれは少々間違っているような気がします。というのも、ブルー・オーシャンというのは作り出されるものであり、現に見えている市場を競争が少ないと雖も、競合がある時点でそれはある種のレッドオーシャンな訳です。ブルー・オーシャンの特徴として、価値の創造とともに、価値の捕獲(Capture)も同時になされるという点、そしてそのブルー・オーシャン自体が、企業のアイデンティティになるために模倣されにくい、という点です。

 

このブルー・オーシャン戦略、INSEADではどのように学ぶことができるのかというと、実はしっかりと選択科目にブルー・オーシャン戦略に関わる授業があります。その名も「Blue Ocean Strategy」と「Blue Ocean Strategy Study Group」というものです。この二つの授業では、この理論をたっぷりと扱います。前者は理論をベースにケース・スタディやシミュレーションを通じて戦略の理解を深めるという目的で行われるものであり、後者はブルー・オーシャン戦略に基づいた事例分析をグループで行うという、ある種の論文執筆のようなものです。そしてこれら二つの授業の特徴は、一部分において、この理論の提唱者であるW・チャン・キム教授自身が講義を行うというものです。

 

先週、この後者の授業があり、グループワークに参加してきました。数人規模のグループに対して、W・チャン・キム教授がゼミ形式で指導してくれるわけですから非常に有意義な時間です。これだけで、INSEAD MBAの学費の元が取れたような気がします笑

 

それはさておき、非常に印象的だったのが、この理論とともにW・チャン・キム教授が目指すINSEAD像を教えてくれたことです。INSEADMBAプログラムは近年とても高い評価を得ているわけですが、それもブルー・オーシャン戦略によって新しいターゲット層をしっかりと確保できたからだといいます。INSEADの特徴である①1年制の集中プログラム、②欧州・アジアキャンパスによる多様性の確保、③マチュアさ(平均年齢が高め)というのは、ある種MBAの中でも特徴的なものです。特に②はビジネススクールにおいて複数キャンパスを持つトップスクールはINSEADくらいで、まさに上述したブルー・オーシャンの特徴を体現しています。そして今後は、現在のコンサルスクールというものに加え、アントレで成果を出していくといいます。正直なところ私も入学前まではアントレプレナーシップにあまり興味が湧いていませんでしたが、アジア・ヨーロッパに限らずこのINSEADのキャンパスに溢れるアントレ精神に良い意味で刺激を受けています。実際のところ、INSEAD発のスタートアップは増えてきているので、それらがINSEADのブランドをさらに高めていくことになるのではないかなと。

 

ブルー・オーシャン戦略について興味を持たれた方で、しっかりと戦略を学びたいと人にとってINSEADは良い環境なのかもしれません。一方で、アントレ精神にも触れる良い場所でもあると言えるでしょう。

 

では、では