キャンパスビジット いくべき?不要?〜MBA出願〜

MBA出願に際し、キャンパスビジットを行う受験者の方は少なくないと思います。キャンパスビジットとは、出願前もしくは出願中にビジネススクールを直接訪問し、各校が開講する授業の聴講を行なったり、在学生やアドミッションオフィス(入学審査官)と面談をしたり、ビジネススクールに関する一次情報を得る活動のことです。かくいう私も海外旅行を兼ねてキャンパスビジットを行なっており、イギリスのビジネススクール三校(LBS、Cambridge、Oxford)を訪問しています。業務負荷が軽くなった2月中旬の時期に有給を突っ込んで、3泊5日の弾丸で行ってきています。

 

キャンパスビジットについては様々な意見があり、「絶対に行った方がいい」という人もいれば、「選考には関係ないのだから不要」という考えの人もいます。このうちどちらが正しいのかは判断がつきにくく、それぞれの個人的な状況と価値判断基準によるのですが、個人的には、出願準備のモチベーションを高める、という点についてはキャンパスビジットはかなり有効なものかと思います。

 

ここではキャンパスビジットで私が経験したことについてまとめたいと思います。旅行も兼ねているので、旅行記的な感じにしたいと思います。

 

○1日目

・羽田からロンドン直行便を利用してヒースロー空港へ。このとき初めてのプレミアムエコノミーに乗る。オフシーズンということもありかなり空席が目立っていて、ビジネスパーソンぐらいしか乗っていない。ちょうどGMATの勉強を開始した時期だったので、GMAT完全攻略を読み進める。Critical Reasoningのパートが面白い。

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・ヒースローに到着。夕方の到着で時間があったので(というかお金を節約したかったので)ヒースロー・エクスプレスは乗らずにローカル線でBayswaterという駅まで移動する。ホテルに着くとかなり遅かったので、ローカルスーパーのSainsbury'sでワインとサラミを買って簡単に済ませる。

 

○2日目

・今日はCambridge Judge Business Schoolのキャンパスビジット。アドミッションオフィスには連絡を取っておらず日本人学生サイトから連絡をして在校生との面談を行う。Cambridgeはロンドン市内から電車で1時間ほど。Cambridge駅を降りて徒歩15分くらいのところにある。Cambridgeはまさに学園都市という印象。大学自体が街になっているのもさることながら、キャンパスの古さと格式の高さにかなり驚かされる。

 

・Judge Business SchoolはそうしたCambridgeの伝統あるキャンパスに比べるとモダンな印象。キャンパス内で3人の在校生に対応していただいた。基本的には質疑応答形式で、自分がパンフレットやウェブサイトなどを見て疑問に思ったことをぶつけ、回答してもらうという形式。3人からは個別にWhy Business SchoolやWhy Cambridgeの理由を教えていただいた。CambridgeはSiliconfenというテック系企業の集積地が近くにあり、そこの企業やスタートアップとコラボレーションしたベンチャー系のプログラムが特徴的。Cambridge VentureプロジェクトやConsultingプロジェクトなどがあり、とても充実したプログラムを持っている印象だった。そして実際にそうしたプロジェクトを済ませた学生から、どのようなプログラムだったのか生の声を聞けたのは非常に有意義だった。

 

○3日目

・3日目はOxfordのキャンパスビジット。OxfordもCambridgeと同じく電車で一時間くらいの場所にあり、かなり遠い印象を受けた。ただ、Oxfordの駅を降りるとすぐのところにOxford Said Business Schoolのキャンパスがあり、とても便利。ここのキャンパスもCambridge同様、非常に新しくモダンな印象。

 

・Oxfordではアドミッションオフィスの人と面談を予定していたが、時間があったのでOxfordのキャンパスを見学。さすがは世界最古の大学、Cambridge以上に格式のあるキャンパスの街並み。Cambridgeはどちらかというと黄色がかったレンガが印象的だったが、Oxfordはもう少し黒っぽい、重厚感のあるキャンパスだった。

 

・昼になり、アドミッションオフィスと面談。アジア系で非常に気さくな方だった。まずはなぜ私がOxfordに興味を持ったか、自分の経歴を踏まえて話をした上で、プログラムについての質問を行なっていった。話は自然と「Why European MBA」の話に。アドミ曰く、ヨーロッパの学校では1年が主流だが、ビジネスは加速度的に変化をしており2年のブランクでは長すぎる。この1年というのは今後のMBAのトレンドになっていく、と断言していたのがとても印象的だった。私もそう思っていたところだったので、あまたの学生や出願者を見てきたアドミからそのように言われたのは、なんだか嬉しい気がした。

 

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・30分程度の面談の後、授業の聴講を行なった。授業は必修科目のStrategy。教室の一番後ろに座って授業を眺めていた。授業では事前に配布されていたであろうケースを用いて行なっており、ケースを知らない私に取ってはほとんどわからない内容であった(いや、単純に英語の能力がなかったのかもしれない)。ただ、今でも覚えているのが学生の発言のスタイル。皆それぞれ自身の職務経験を持っているので、発言も「私は過去にこういうことをしてきたんだけど、その観点からはこうだった」というような、過去の経験に基づいた発言が大多数を占めていた。ここがおそらく普通の大学院と異なるところなんだろうなと勝手に解釈。

 

・1時間近く授業を聴講したのちに、Wrap upも兼ねてもう一度アドミと面談。とっても興味が湧いたとパッションを伝え、キャンパスビジットが終了。授業が聞けたのは何よりも良い収穫で、MBAの実際の雰囲気、どのように学んでいくのかといった「実感」を持つことができた。

 

○4日目

・実は4日目が帰国日。ただし夜のフライトなので、昼にLondon Business Schoolのキャンパスビジットを入れていた。London Business Schoolのキャンパスはその名の通りロンドンにキャンパスを構えている。2018年に新しいキャンパスができたらしいのだが私はBaker Street駅が最寄りの旧キャンパスにビジットした。

 

・LBSではCambridgeと同じく在校生の方と面談。授業で忙しいタイミングだったのか、対応は1人にとどまった。基本的にはCambridgeのキャンパスビジット同様、パンフレットやHPで見た情報をベースに質疑応答を行なっていく形式。ただ、すでにMBAのプログラムや考え方についてはあらかたCambridgeやOxfordのキャンパスビジットでイメージができていたので、受験や出願に関する質問が自然と多くなっていった。対応していただいた方もMBAを志してから英語を真剣に勉強し、苦労をされて合格されたということで、当時TOEFLのスコアメイキングに苦しんでいる私に取っては大きな心の助けとなった。1〜2時間程度話したのち、駅まで送っていただいてキャンパスビジットは終了。LBSではアドミと連絡は取っておらず、授業の聴講はしなかった。

 

・帰りは流石にロンドン・エキスプレスに乗り時間を節約。空港のラウンジでサルサをつまみモヒートを飲みながら、「やっぱりMBAいいなあ」と思い、帰途につく。

 

とかなりざっくりした感じになりましたが、以上が私のキャンパスビジット記です。こう書くと本当に旅行のように思えますが、出願に関係なく行った方がフランクにプログラムを知ることができるので良いのかもしれません。私は英語の勉強で行き詰まっているタイミングで、逃げるようにして行ってきたので、モチベーションは俄然高まりました。

 

私のキャンパスビジット記からも分かる通り、得られる情報というのはそこまで多くはありません。基本的には今のネット社会の世の中、あらかたの情報は各校のWebsiteやパンフレット、日本人在校生のブログなどで情報収拾できてしまいます。ですので、単純な情報収集を目的にキャンパスビジットにいくというのであれば、あまりオススメしません。

 

また、一部のスクールを除き、キャンパスビジットは選考に影響ありません。単純に面接などでのネタ作り程度にしかならずキャンパスビジットをしたからと行って選考に有利になることはまずあり得ないと思います。

 

もう一点ネガティブなことをあげるとすれば、キャンパスビジットでもそれなりにお金がかかります。日本からヨーロッパ・アメリカにいくとなると航空券代だけで10万円行ってしまうと思います。TOEFL三回受けられます。キャンパスビジット行くくらいならもっとテスト受けろ、という意見があっても至極真っ当かと思います。

 

それでも私は、特に海外経験の少ない私のような日本人出願者であればあるほど、キャンパスビジットは意味があると思っています。その時その時の状況にもよりますが、何より臨場感を持ってMBAのキャンパスや授業を体感することができるので、自分が目指すべきものをイメージしながら準備に進めるわけです。これは長く厳しいMBA出願のプロセスを耐え抜くには良いカンフルになると思いますし、私も実際それで乗り切ったところがあります(実際に入学するスクールは全く異なりますが)。

 

また、上記で「得られる情報は少ない」と言いましたが、それでも実際にプログラムを履修している在校生の方から生の声を聴くことで、非常に有益な示唆を得ることができます。実際私もOxfordで偶然お会いした日本人在校生から指摘された一言が、その後の学校選択に大きな影響を与えました。かの吉田松陰も、「地を離れて人なく 人を離れて事なし 故に人事を論ぜんと欲せば 先ず地理を観よ」といっていますが、やはり現地に行って見ないとわからないことはあると思います。

 

色々と書きましたが、個人的にはキャンパスビジットはオススメです。出願準備に疲れた、MBAってそもそも何するのかよくわからんなどの疑問が湧いてきたら、ぜひ門を叩いて見てください。私も8月以降はMBAの学生になるので、我が校にお越しの際にはぜひキャンパスにてお待ちしております。

 

では、では