三田紀房『汗をかかずにトップをねらえ!?』〜読書リレー(104)〜

 またしても、三田紀房氏による本を読んでしまいました。でもやっぱり、この視点は面白いと思います。

 

タイトルからし自己啓発的な内容の本ですが、ドラゴン桜のように「騙されたくなけらば勉強しろ」という内容の本になっており、高校生の時にドラゴン桜をリアルタイムに読んでいた私からすると妙に納得がいく内容となっています。

 

この本で強調されているのが、「今の20代後半から30代にかけて」の日本人だということです。なぜこの世代に対して強烈なメッセイージを発信しているのかというと、ここが、「ロストジェネレーション」だから、と言えなくもないでしょう。

 

この世代というのは、就職活動時代にはあまり日の目を浴びなかった世代です。具体的にいえば、世界的な不景気の影響を受け、企業が新卒の採用募集人数を絞った時期でもあります。そうした中では、優秀な人材においてもそうした企業に入ることができず、苦労したことだと言えます。そうした世代に訴求したのが、この本だと思います。

 

また、特に顕著なのが、即戦力を求められる現在の転職市場です。現在、人手不足の中で、現場を取り仕切る中間層、すなわちミドルマネジメントの人手不足が顕著に表れています。これは、日本の大手企業が好調な業績を達成している中で、ある意味仕方のないことなのかもしれませんが、即戦力が足りない、ということはすなわち、現場の職場において、生え抜きの人材が育っていない、ということが挙げられます。言い換えれば、ロストジェネレーションにおいて採用を絞ってしまったがために、そうした世代においてきちんとした教育がなされていない、という現実に日本企業がいよいよ直面している、ということになるのでしょう。

 

そうした中では、いってみれば需要と供給のバランスの中で、供給が少なくなっているというのが顕著に見えるわけです。本来であれば、供給が少なくなっているということは、需要を満たすために市場価格は釣りあがっていく、すなわち賃金は上がっていくというのがセオリーだとおみますが、実態としてはそうなっていないわけです。日本の課題として、そうした不均衡の部分に、真正面から取り組むべきではないのかな、と思ってしまいます。

 

では、では