だじりブログ

日々の読書から広がる考察

佐藤文男『3年後、転職する人、起業する人、会社に残る人』〜読書リレー(107)〜

ちょっと気が緩むと、更新が滞ってしまいますね。やっぱり怠け癖はなかなか治らないようです。気を取り直して、読書リレーにいきたいと思います。 

3年後、転職する人、起業する人、会社に残る人

3年後、転職する人、起業する人、会社に残る人

 

 キャリアアドバイザーである著者が、転職・起業・会社に残るという三つの視点から、キャリアについて述べた本です。表題にもある通り、仕事人生に戦略を持とうという観点で書いているため、様々なキャリアが網羅的に書かれており、自分がビジネスパーソンだとして、今自分がどのようなポジションに位置付けられるのかを考えさせてくれる本です。

 

ともすると当たり前のように思えるような本ですが、こうした本はなかなかないのではないか?と思います。そしてだからこそ、転職まではいかないけれどもキャリアについて考えてみたい多くのビジネスパーソンにとって有意義になる本になっているのではないかなと思います。

 

ビジネスパーソンは普段の業務に忙殺され、自分の置かれている状況や考えをなかなかメタ的な観点から捉えることができません。それもそのはずで、基本的にそうした思いというのはなかなか外部に(社外も含めて)アウトプットするのがはばかられるからです。しかし著者は長年のキャリアアドバイスの経験から様々なケースに触れてきており、色々なパターンのキャリアのあり方を提示してくれます。そうした点では、人に話を聞けないセンシティブなトピックである以上、こうした本は役に立つ、という者なのです。

 

特にこの本の中で描かれている興味深い点が、転職に関するアドバイスです。著者は、転職は「宇宙人になったつもりで」「ゼロクリアボタンを押す」と説明します。どういうことかというと、いくら社会人経験が長い人材であるとは言えども、会社が異なれば社内のルールが全く異なるわけです。こうした中では、前職の経験に縛られて、「今までこうしてきただから、今回もこうすれば正しいのだ」というような考え方では通用しない、ということになるのです。このため、転職した際には、あたかも新しい星に着陸した宇宙人のように振舞うべきだとしています。

 

また後者のゼロクリアボタンについても同様の点から言えます。すなわち、前職で培った社内人脈や知識は、ほとんどと言っていいほど役に立たなくなるわけです。転職をする際に、そうした点をしっかりと理解した上で、(一昔前のテレビゲームの表現だとは思いますが)リセットボタンを押す勇気があるのか、というのが一つの転職の際のキーワードになってくる、というのが著者の主張です。

 

近年、日本においても労働市場流動性が高くなってきており、転職市場はさらに拡大を続けているといいます。しかし、転職後に現実と理想のギャップに悩み、結局数ヶ月で退職してしまうというケースがあとをたたないと聞きます。この本が出版されたのは3年も前ですが、今でも通用する、いや今だからこそ価値があるような一冊かと思います。

 

では、では