中国人が爆買いをするのは、日本のモノが良いからではない

先日出張で日本に帰りました。期間は三日間と短いですが、フライト時間が短く便自体も便利ですので、海外出張を感じさせてくれない距離感と利便性が中国ー日本間にはあると思います。

 

さて、中国から出張に行くと必ず起きるのが「買い出し」。いわゆる「爆買い」というものです。同僚や家族からたくさんの品物が書かれた「買い物リスト」を手渡され、さながら一族を代表して科挙を受ける中国人のように、ドラッグストアや家電量販店でリストを片手にとにかく買いまくる。こうした光景は、すでに日本の人からも見慣れた光景となっていますが、今回は私がこれをする番になりました。

 

なぜそんなにも爆買いをするのか。まず断言しなければならないのは、「日本にしかないものを買うから」というわけではありません。上海のような中国沿岸部都市にのみならず内陸部においてもすでに日本製のみならず外国製の日用品や食品が流入しており、同クラスの製品であれば中国の大都市であれば購入することができます。食品にしても、スターバックスを中心としたグローバルに展開するチェーン店は言わずもがな、日本食ブームに伴い、日本チェーン(すき家吉野家はもちろん、一風堂シャトレーゼまで!)のみならず、個人経営の日本食レストランも多く出店しています。我々日本人の感覚からしても日本と全く変わらないモノに囲まれて生活をすることが可能になっており、ますます便利になっています。

 

それでは何故中国でも手に入るものを、わざわざ日本で購入するのか?簡単に言えば、日本の物価が安いからです。上海にいて感覚が麻痺しているのか、交通費を除き、日用品から食事、雑貨に到るまでとにかく安い。一昔前まではアジアが安いというイメージでしたが、今では完全に上海の方が生活物価は高い感覚です。例えばスタバのラテはグランデサイズで420円。上海では大杯で31元。現在のレートが1元17円ですので、520円くらいでしょうか。20-30%くらい差が開いてきます。また、日用品でも、マスクから歯ブラシから化粧品に到るまで、全てでこれぐらいの差が出てきています。

 

私は、爆買いの背景にはこれがあると思っています。とにかく日本で購入した方が安いですし、距離が近い日本ですので比較的簡単に購入に迎えるわけです。ですので、出張などで日本に訪問する際はともかく、LCCなどを用いて爆買い目的で弾丸旅行を行なったとしても、購入金額次第では全然ペイする選択なのです。

 

よく、爆買いが起きているのは日本の製品が認められているからだという、ものづくり神話的な観点で爆買いを捉える人がいます。これはナンセンスで、中国人の考え方は、中国語でいう「性価比」、日本語に訳すと「コスパ」なのです。すなわち、日本の製品は安くて良いから購入するので、「安い」という要素無くして今の爆買いはあり得ないのです。また、よく「爆買いでは日本にしかないモノを求めている。」と中国人の購買体験を見誤り、日本限定商品を出す業者がありますが、これも爆買いの本質を捉えていないと思います。爆買いの対象はあくまでも「中国でも買えるけど、日本で買った方が安いもの」というものにフォーカスされているような気がします。

 

とは言っても、日本の製品がこうして安く叩くように買われているのは、日本の経済からはいいかもしれませんが、何か日本人として「良いものなのにこの値段じゃないと売れない」という自信のなさを表しているようで、少し残念な気がします。前掲の「値上げの技術」ではないですが、もう少し値段を上げて言っても良いのでは、そう感じてしまいました。

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では、では