MBA Period Zero Week 3 〜Value Creation〜

 粛々と続けているPeriod Zero。今週は戦略に関するトピックです。戦略は特にINSEADが強みとするところで、有名どころでは、「ブルーオーシャン戦略」を提唱するチャン・キムと、レネ・モボルニュが教授として在籍しており、個人的にはとても楽しみにしている分野であります。

 

ということで今回の講義では、特に戦略の実行の結果もたらされる「価値の創造」について取り上げられていました。価値の創造については大きく二つのアプローチがあるといいます。

WTPをあげる

②RCを下げる

WTPもRCもなんじゃそりゃという感じですが、WTPはWillingness to pay、RCはResource Costの略で、日本語でいうと「支払い希望の額」と「資源のコスト」というべきでしょうか。あえてResourceを資源と訳したのは、このResourceには単純な物質だけではなく、生産性の効率などの無形のものも含まれているからです。

 

 

WTPをあげるためには、様々な方法があるわけで、新しい技術の発明による性能の向上、強いブランドの植え付けによる無形の価値の提案などがあります。前者で言えばリチウムイオン電池の向上による駆動時間の長いPCの開発などがあり、後者で言えば見栄えのしないポロシャツにロゴマーク入れればたちまち価格が10倍に跳ね上がる、ということが挙げられます。

 

RCを下げるためにも、様々な方法があります。生産性の向上が一番わかりやすい例ですし、後は物質的な材料コストの減少というものがあります。前者で言えばトヨタの改善活動による製造コストの減少、後者で言えば燃料のコストダウンによる航空券価格の下落などが挙げられます。

 

これらを自分が今ある資源をもとに、WTPをあげ、RCを下げるということをしていくことこそが価値の創造につながるということになります。

 

こういう観点で見ると、日本の企業は概してRCを下げることは得意だが、WTPをあげることはなかなか苦手としているんじゃないかな?と振り返って考えてしまいます。唯一の例外が昔のSONYや、ビューティー家電を生み出しているパナソニックで、ウォークマンなどを始め新しいライフスタイルを提案しているという点では、WTPをあげる方に動いているわけです。しかしほとんどが、RCを下げる、すなわち生産性を向上させたり、海外の競合他社がうまくできていないところを効率性をあげてコストを下げるという方法で戦ってきたような気がします。

 

ただ、もしかすると今の日本は全体としてこの傾向が強く出ているのかもしれません。すなわち、WTPのあげることには興味がなく、向上した価値を認めない一方で、ひたすらRCを下げよう努力させられるという構図です。大前研一氏も最新の著書で日本は「程欲望社会に突入した」といいますが、低欲望社会というのは、「いいものを安く」という言葉に修飾されるように、コストを前提に物事を考えるために、消費がどんどん弱まっている、という現象を表します。 

 

今後の日本企業、いや日本社会にとって必要なのは、 WTPの方かもしれません。

 

では、では