コンビニが居酒屋になる日、は遠い?〜「生ビール」試験販売中止〜
以前このブログで取り上げた「生ビールの試験販売」について、取り上げた先から早速進展があったようです。
それが「中止」。中止自体への驚きもさることながら、そもそも実験的な販売をするという発表だけだったのにも関わらず、これだけ早く中止を発表するというのは、別の意味で驚きです。
東洋経済がここで分析を加えているので紹介します。この記事によれば、今回中止に至った理由として(公式には発表されていないので)3つの推測をあげています。
②飲酒運転対策
③小規模事業者への配慮
このうち、①②については、現状コンビニがアルコール類を売っていなければ理由にはなりますが、すでにアルコール類を全面的に販売している、むしろ飲料メーカー各社はコンビニ限定製品を続々投入しコンビニに来る30代・40代男性をターゲットに大々的に攻勢を仕掛けている、という点を考えれば、理由にはなりづらいと思います。
飲酒運転については、現状アルコール類が販売されている以上、そこの隣に生ビールサーバーが増えたからといって、劇的にアルコール類の販売が増えるわけではありません。また未成年の酒類販売コントロールについても、すでにコンビニは販売の段階で年齢確認を行っていますし、そうした観点では巷の居酒屋よりかは規制は厳しいのかなと。
おそらく重大な理由が③でしょう。この記事を見つけた時、おそらくコンビニは居酒屋の需要をどんどん食って行くんだろうなと思いました。第一、価格が安すぎます。政府がインフレを目指して大量の資金を投入して頑張っている中、生ビールが一杯100円だなんて、デフレ真っ盛りの価格を提示するわけですから。まあ、コンビニは日本の消費者の需要に一番近い存在としても考えられるので、コンビニがそうしたサービスを提供するということは実際に人々の需要もそれくらいのレベルなんだなと思っていましたが。
閑話休題。ふと考えると、なぜ他のサービスはスムーズに実験できたのに、生ビールだけ実験の前から販売の中止になったのか?という疑問が残ります。当時コーヒーも、街のコーヒー屋と遜色しないクオリティのコーヒーが1杯100円という破格で提供されていたわけですし、ドーナツもすでに実験を終え、コンビニがカフェになる日はもうすでにすぎているような気がします。コンビニがカフェになるのはいいのに、なぜコンビニが居酒屋になるのはいけないのか?という疑問が残ります。
あくまでも推測ですが、飲料でもコモディティ具合の違いが今回の差を生み出したんじゃないかなと思っています。コーヒーは、なんだかんだ豆の違いや抽出方法の違いによって差別化を図ることができる。どんなにコンビニが100円で低価格高品質のコーヒーを提供したとしても、自家焙煎、マイスターによるドリップがウリの珈琲館が潰れません。なぜなら、同じコーヒー一杯でも、異なる需要に応えているからです。
しかし生ビールとなると、銘柄の違いはあるせよ、ほとんど差異化することはできません。生ビールサーバーを設置し、ビール樽を購入すれば、どこでも同様のクオリティを出すことができます。抽出方法にもそれほど個体差はありません。そうなってしまうと、本当にコンビニが生ビールを提供すれば、居酒屋などの需要を食ってしまうかもしれない。そう誰かが危惧したんじゃないかなと思います。
ただ、こうした取り組み自体は個人的に応援したくなるので、このコンビニにはこれでめげずに、どんどん新しいことに挑戦していってほしいです。
では、では