2月22日〜P3終了〜

あれ、前の記事が「シンガポール到着」だったのに、もうP3終了?

 

はい、そうです。完全にブログから離れてしまい、この体たらくです。光陰矢のごとしとはまさにこのことで、気がつけばあっという間に怒涛のP3が過ぎ去り、金曜日を以ってP3が終了致しました。これで全カリキュラムの60%が終わったということになります。今P3を終えて時間ができたので、振り返ると同時に、INSEADのキャンパスライフについても紹介したいと思います。

 

この2ヶ月間、一体何をやっていたのか、順を追って紹介したいと思います。

 

①コア科目と選択科目で分刻みのスケジュール

コア科目は、Business and Society: Political Environmentと、Public Policy、そしてMacro Economics in the global economyという三科目。文系学部卒業出身の私にとっては比較的馴染みのある分野でしたが、欧州の学校らしくしっかりとPoliticsやSocial Scienceをやろうという考えをベースにしたカリキュラムになっています。特にマクロ経済学は、実際のマクロの理論(IS-LM曲線とか)のみならず、実際のデータを用いて現在の経済の状況を読み解く作業も行われ、非常に興味深い内容でした。さらに、教授が日本びいきなのか、それとも日本の状況があまりにも特殊なのか、日本の事例(アベノミクスなど)を用い財政政策や金融政策を論じてくれたため、日本の危うさについて改めて危機意識を植え付けてくれた、そんな授業でした。

 

一方で選択科目は、その名の通り自分で好きなトピックに合わせて選ぶことができるもので、私は以下授業を選択しました。

1. Technology and Innovation Strategy

文字通りテクノロジーをどのように企業戦略に落とし込んでいくかというもの。簡単な事例でいうと、新しい技術を製品化するときに、どうやってキャズムを乗り越えていくかというような話をおこなっていく。シミュレーション等を通じ新しい技術への投資バランスを検討したり、テック企業への訪問を行い、いかに競争優位性を作り上げていくかという議論を行ったりと、内容盛りだくさんの授業でした。電機メーカーで働いていた自分としては、過去の経験とリンクする点が非常に多くあり、とても学びの多い授業でした。

 

2. Merger and Acquisition, Alliance and Corporate Strategy

簡単に言えば全社戦略。企業トップの視点から、どのように成長や拡大をしていくのか、その手段としてのM&Aやアライアンスについて、どのような視点で分析を行い意思決定をしていくのかという授業でした。ケースを中心とした議論で、特にM&Aの実務経験がない私にとってはかなりハードな内容でしたが、それ見合いにラーニングカーブはすさまじいものがあり、知識習得という面で非常にメリットのある授業でした。加えてM&AアドバイザリーやPEファンドといったゲストスピーカーによる講義は、今まで自分が経験してこなかったような分野への興味を広げてくれたという点ではエポックメイキング的な授業になったかもしれません。

 

3. New Business Ventures

一言で言えば、「起業家養成塾」。アントレに関心はあるがまだやったことがないという学生を対象に、起業において起こりうるトピック(アイディアをどうするか、誰と組むか、どうやってファンディングするか、どうやってスケールを拡大していくか)に基づき、毎回そのトピックに基づいたゲストスピーカーを招いて講義をするというもので、最終的には投資家を前に自身のビジネスアイディアをスピーチ(Pitch)するという、非常にユニークな授業でした。ゲストスピーカーというのもこれまた癖のある人が多く、シンガポールでE-commerceを立ち上げた起業家や、インドネシアユニコーン企業に対していち早く投資をしたPEファンド、タイでオンラインゲームをひたすら作り続ける起業家や、挙げ句の果てには日本にテトリスをもたらしたハワイアンに至るまで、多種多様なゲストスピーカーがきました。その中で、起業のマインドセットや改めてキャリアに関する考えを洗練するとても良い機会になったかと思います。

 

4. Strategies for Asia Pacific

アジア太平洋ビジネス戦略、といったところでしょうか。東アジア・東南アジアのマクロ事情を紹介するとともに、どのようにそれらの国々でビジネスを行うべきかという、アジアにキャリアを根ざす気満々の私にとってはとても学びの多い授業でした。教授はハーバードで日本学で博士号を取得したキレキレのドイツ人で、日本語も非常に流暢な人でした(「濡れ落ち葉」という言葉を勉強したのもこの授業笑)。アジアの状況について広く深い理解ができるとともに、それをビジネスの視点で捉えるという、非常に有意義な授業でした。

 

この授業では、2時間かけて日本の状況について講義がなされたのですが、とてもその授業が面白かったので、また別の機会にまとめたいと思います。

 

 

5. Strategies for Product and Service Development

簡単に言えば、今流行りのデザイン思考の授業。INSEADキャンパス内にあるCreative Garageという、デザイン事務所のような教室で行われるこの授業では、デザイン思考を鍛えるための様々なケーススタディや実践を行いました。授業の途中ではフィールドワークにも行き、プロセス改善のための知見を得るなど、非常に体験型の授業だったかと思います。

 

ということで、非常に興味深い選択科目が多く存在する中で、学校から要求されている科目数の1.5倍近くを履修してしまいました。その結果、圧倒的に時間が足りなくなり、コア科目で忙殺していたP1、P2とは違った質の忙しさにかまけておりました。

 

Jakarta Trek

もう一つP3で特筆すべきなのが、ジャカルタへの企業訪問。これは学校のカリキュラムとは関係なく、学生有志によってプログラムされたもので、金曜日と週末を用いた二泊三日、弾丸のツアーでした。とはいっても訪問企業は、インドネシアを代表するテックユニコーン(GoJek、Bukalapak、OVOなど)ばかりで、東南アジアのビジネスを理解するには非常に有意義なTrekでした。

 

③Club活動

P3はキャンパスも移動したこともあり、クラブ活動も別の意味で活発になりました。私はIndustry Clubという、Industry Goods (自動車、機械、化学、半導体など)の分野に特化したClubのアジアキャンパスの代表となり、粛々と活動をしておりました。代表というと聞こえは良いのですが、Club運営に興味があったのが私を含めて3人で、私以外の2人がシンガポールには2ヶ月しか滞在しないということだったので、必然的に私がinitiativeをとることになったという経緯です。とはいっても、学校と学生をつなぐ事務仕事的な内容が多く、企業訪問などのイベントを企画したり、採用活動でやってくる企業向けにCV Bookをまとめたりと、どこぞの企業の回し者的な役割がメインだったと記憶しています。

 

④就職活動

アジアキャンパスに早めに移動することになった一つの理由として、就職活動を早めにスタートさせたいというものがありました。その想いのとおり、フランスにいる時以上に色々と企業を見て回ったかと思います。就職活動は次のPeriodから本格的にスタートするのですが、それでも企業のコーヒーチャットに参加したり、面接対策のセミナーに出たり、同級生と面接の練習をしたりと、ほとんど週末はこうしたアクティビティで埋まっていたような気がします。

 

⑤気がつけばアジアを中心としたネットワーキング

フランスのinclusiveな雰囲気とは異なり、シンガポールキャンパスはネットワーキングに対して良くも悪くもドライな感じを受けます。特にこの時期は、シンガポールキャンパスは(a)アジアでキャリアを考えており、早々に就職活動に動いている学生と、(b)アジアでのキャリアは考えておらず、とにかくアジアを楽しみたい学生 の大きく2パターンに分かれていて、キャンパスにおいても完全に学生の繋がり方が二分化されていたような気がします。(a)で多いのはアジア系の学生であり、気がつけば私もそうした学生と情報交換をしたり、議論したりなど交流を深めていったと記憶しています。

 

そして、中国の旧正月もあったこともあり、気がつけばキャンパスとChinaTownを行き来する毎日が繰り返されておりました笑 中国語を喋れることもありシンガポールでは受けが良く、イベントやパーティの誘いも、基本的に中国人枠として参加していました笑

 

⑥家族:日本で拾ったインフルで一家撃沈→シンガポールの温暖な気候に一家ハッピー

シンガポールに来て早々、日本一時帰国時にもらって来たであろうインフルエンザに妻が発症、それが娘に移り、ということで、最初の二週間は現地生活立ち上げと家族の看病、そして授業という、シンガポール版「三本の矢」を被弾し、大変なスタートを切っておりました。ただ、一旦生活が落ち着いてくると、シンガポールの快適すぎる生活環境に一家一同大幸せを享受しております。妻はシンガポール名物海南鶏飯に感動しながら自身の修士プログラムで神経科学について学び、娘はやっと一人で歩けるようになったのでシンガポールの緑豊かな街並みを颯爽と歩き、シンガポールライフを満喫しているように見えます。特にシンガポールに移ってからは、よく学校に子供を連れて行くようになり、学校で会う人々から、「今日もお前の子供にあった」と挨拶がわりにコメントされるような、そんな生活を過ごしておりました。

 

ということで、授業+課外活動+就職活動+ネットワーキングで分刻みのスケジューリングで動き、夜帰って娘を寝かしつけて自分も寝落ち、朝早く起きてその日の事前準備を行い、週末はJakarta行ったりセミナー出たりというライフサイクルを2ヶ月間続けてきた、というのが1月2月のサマリと言えるでしょう。

 

フランスでは良くも悪くも現実から少し離れていたような気がしていたのですが、シンガポールに来てからは、自分のやりたいことと自分のやっていることがしっかりとマッチしている、そんな手応えを感じています。これはひとえに、INSEADがアジアにキャンパスがあるからということも言えますが、何よりもP3に入って学生生活の質がまた一段と変わったということも影響しているのかもしれません。

 

P4に向けて、これから10日間近くの休みになるわけですが、休みの期間中は引き続き就活に向けた準備を行うとともに、自分が企画したJapan Trekで現地での引率を行うべく、また一週間ほど日本に滞在する予定です。時間が許す限りトピック別にP3での学びを綴っていきたいと思います。

 

では、では