だじりブログ

日々の読書から広がる考察

INSEAD学生の卒業後の進路について

5月も末になり、残すところMBA生活もあと1ヶ月近くとなりました。Intensiveなプログラムということもあって本当に充実した日々を過ごしていますが、それがあと少しともなると少しずつ感慨深くなってきています。

 

このP5という期間はとても特殊です。というのも、学生によってこの2ヶ月の使い方が全く異なるからです。就職活動を終えた学生は、この期間を旅行期間として活用し、様々なところに繰り出しています。クラスメートの中には、P5でとる授業をピリオドの前半に固め、残り1ヶ月をひたすら旅行に当てるというツワモノもいます。シンガポールキャンパスに在籍しているはずなのに、授業の合間の2週間にフォンテーヌブローに滞在する、なんていう学生もいます。

 

また、引き続き就職活動を行う学生も見受けられます。コンサル・金融以外の企業を第一優先に考えている学生にとっては、企業側もP4・P5関係なく独自に採用活動を行なっているので、それらに合わせじっくりと面接をするという学生もいます。

 

こうした中で、学生の就職活動の模様が少し面白いなと思ったのでここにまとめたいと思います。面白いのが、多様性を謳うINSEADの中においても、国籍やバックグラウンドに基づき卒業後の進路にパターンが見受けられることです。大きく分けて、学生の卒業後の進路については、①戦略コンサルティング、②金融、③テック・事業会社系、④起業・その他の大きく4つにまとめられます。④はベット紹介するとして、ここでは①②③について以下順を追って説明したいと思います。

 

①戦略コンサルティング

INSEADが「コンサルスクール」と称されるだけあって、戦略コンサルティングを卒業後の進路として考える学生は非常に多いです。INSEADの公式情報においても、卒業生のおよそ4割がコンサルティング業界に進み、また3割がMBB(McKinsey、BCG、Bainの頭文字をとったもの)にいくというので驚きです(社費生含む)。そのためか、MBBにおいてINSEADは最大の採用数を誇っており、例えばMcKinseyはグローバルで見るとINSEAD卒のコンサルタントが、他のビジネススクール卒のコンサルタントを差し置いて一番多いといいます。ダイバーシティを謳うINSEADですが、卒業後の進路までは流石にダイバーシティではないようです笑

 

余談にはなりますが、なぜMBBを中心とした戦略コンサルファームがINSEADからここまでの数を採用できるのかというと、それはやはり学生の多様性、特に欧州を中心とした多様性にあるのではないかと考えています。MBBのいずれもアメリカ企業ですので、アメリカ国内のオフィスは基本的に米ビジネススクールの卒業生から採用を積極的に行なっているといいます。ただ、たとえ世界一位の経済規模を持つといっても、一国にフォーカスしてしまっては採用数が限られてしまいます。一方でINSEADアメリカでの採用は少ないものの、キャンパスのあるヨーロッパやアジアでの採用が多いような印象です。戦略コンサルといっても今はグローバルファームですので、世界中にオフィスがある。そうしたオフィス、特に発展著しい地域においては、自然と採用も増える。そうしたアメリカ以外の需要増を、INSEADがうまく取り込んでいるのではないか、そう考えることができます。

 

閑話休題。これだけ採用数が多いので、採用プロセスも非常に整ったものになります。まず、P3に各社コーヒーチャットやケース面接対策セミナーなど、ありとあらゆるイベントを行い学生取り込みを行います。そのあと、P4の初めに会社説明会があります。そこで正式なキックオフとなります。会社説明会ののち学生は履歴書とカバーレターを提出し書類選考に臨みます。書類選考に通った学生は、学校で行われる一次面接に臨み、それに合格すると、今度は各オフィスによる二次面接、最終面接と続きます。このプロセスが、3月末〜4月末に終わるように、スケジュールがしっかりと整っています。すなわち、コンサル志望の学生は、このプロセスにある程度乗っかることで、効率的に選考を進めていくことができるわけです。「コンサルスクール」ならではの効率化ともいえるでしょう。

 

しかしながら、プロセスは一見すると非常に統一されていますが、それは「各地域の選考をまとめて一つに行なっている」だけにすぎませんので、やはり国・地域によって状況が異なります。各地域のオフィスには、現地言語が話せるかどうかを条件にするところが多いです。このため、英語が通じるシンガポール・ドバイ・ロンドン、そして中華圏内を除き、ほとんどの学生が自国のオフィスを志望します。例えば、日本の学生が日本オフィスを志望し、タイの学生がバンコクオフィスを志望します。これら「現地言語の制約がある」国々の学生にとっては、出身国のオフィスに申請すること自体がアドバンテージになりますし、逆に別の国で働くというのはよほどの理由がないと非常に難しく、自然と自国オフィスに回帰していきます。

 

また、選考の内実も各地域によって大きく異なります。というのも、いずれのコンサルファームも、各地域のオフィスが最終的な採用決定権を持っているのですが、当然各地域によって採用数や方針が同一企業においても変わってくるためです。例えば、日本やタイのオフィスを志望する学生(当然、ほとんどが日本人かタイ人)はほとんど全ての学生が書類選考をパスした一方で、あるファームの中国オフィスでは30人近くが申請して3人のみ書類選考をパスできたという非常に狭き門でした。そして、二次面接以降になってくると各オフィスでの面接になりますので、当然同国籍の学生が集まって情報共有を行います。こうなってくると、同じファームを受けてはいるものの、別の戦いをしているともいえるでしょう。

 

またオファーが出てからも、それぞれの国によってオファー受諾に対する考え方が大きく異なります。日本やタイなどは比較的シンプルで、オファーをもらったら基本的にそこにいく、という形です。一方で複雑なのは中華圏。特にシンガポール在住の中国人は中国国内のオフィスでオファーをもらうと、違う悩みに当たります。というのも、INSEADシンガポール在住の中国人は、自身もしくはパートナーがシンガポール政府から奨学金をもらってシンガポールに在住しているというケースが非常に多く、中国に帰ってしまうと多額の違約金を支払う必要があるそうです。

 

②金融系

コンサルスクールと称されるINSEADにおいても、投資銀行といった金融系のキャリアを志望する学生は少なからず存在します。こうした学生については、コンサルティングとは違った理由で「画一的なプロセス」が存在し、結果学生の特色も如実に現れてきます。

 

まず、金融系で特徴なのが、金融系のバックグラウンドを持つ学生しか志望しない、という点です。逆に、他のケースを聞いたことがありません。INSEADはキャリアチェンジの場をよくアピールしていますが、こと金融系のキャリアにおいてはそうはならないようです。

 

次に、ヨーロッパの学生は就職先としてロンドンが多いということです。これはINSEADがP1に、ロンドントレックと称して金融機関に学生を送り込むプログラムを実施しており、そこで学生がオファーをもらうというのが定石となっていることに起因します。現に、私のグループメートも、ある銀行のロンドン支店IB部門から早々にオファーをもらっていました。

 

それ以外の場所の選択肢となると、やはり自力で探すほかないようです。金融系を志望する学生が少ないということが起因しているのでしょうか、INSEADもロンドン以外の地域において強固なリソースを有しているわけでもなく、学生がそれぞれ独自に就職活動を進めている、といったような印象を受けます。例えば、私の友人の中国人は、学校のリソースを使わず自力でネットワーキングを行なっていました。

 

③テック・事業会社系

コンサルに次いで多いのが、このテック業界といえるでしょう。テック業界といっても定義は曖昧で、具体的な会社名で言えばGoogleAppleといった巨頭から、Agoda、Traveloka、Gojekといった新興テック、AmazonやShopeeといったEコマースやMicrosoftIntelといったハード系も含まれます。

 

また、これ以外にも事業会社にアプライする学生も一定数存在します。具体的にはSiemensSamsungDellNissanといった電機・機械・自動車系、ロレアルやグッチなどのRCLG(リテール・コンシューマ・ラグジュアリグッズの略称)他にもOil&GasやLogistics系など多種多様。

 

これらについて特徴的といえるのは以下の二つです。まずは学生について、テック業界に進む学生には、元戦コン出身者や異なるバックグラウンドを持つ学生が多いような印象を受ける一方で、事業会社系は、もともとそのバックグランドを有している学生がアプライする傾向にあるようです。テック企業については、戦コン出身者のExitとしてテック企業が魅力的なのに加え、働き方についても比較的フレキシブルな点なのが、彼らを魅了しているのかもしれません。一方で事業会社においては、各社MBA卒業生を対象にした「リーダーシッププログラム」を準備して、多様なキャリアプランを提供しているのですが、やはり基本的にそうしたプログラムに興味を持つのは、前職で類似した経験を持つ学生に絞られるようです。

 

二点目にあげられるのが、選考のプロセスについてです。各社採用学生数が1〜3名と、戦略コンサルティングファームと採用数が大きく異なるため、採用活動も各社ともバラバラ。期間も、書類選考からオファーまで4ヶ月以上かかる企業もあります。このため、これらを志望する学生の多くが、P5においても継続的に就職活動を行なっています。

 

事業会社やテックは、ロケーションを変えたい学生にとっては非常に魅力的な選択肢です。というのも、言語の制約が比較的緩やかで、企業側も人材の多様性を向上する目的なのか外国の学生を積極的に採用しているような気がします。MBA卒業後のキャリアでロケーションを変えるとなると、こうした企業が有効なオプションになると言えます。

 

では、では