武田薬品のトランスフォーメーション

 

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2015年にトランスフォーメーションに踏み切った武田製薬の今を取り上げる記事です。そこでは、CEOに外部から外国人を招聘し、トップダウンの大号令のもとでグローバル化を図った武田製薬が、仏大手のファイザーを買収するなどのM&A戦略を実施していくことで成長を図っている、そのような過程にある武田薬品が、「気づけば『社員9割が外国人』」という社員の眼差しで取り上げられています。日本人社員からすると、今まで慣れ親しんだ会社がいきなり外資のような雰囲気になるわけですからそれはそれで驚きです。そうした中で、武田薬品で働く日本人社員がどのようにしてその変化を受け入れて行ったのかについて記事が書かれています。

 

少し驚いているのが、この記事が、日本の企業の現状をポジティブに捉えているという点です。急速にグローバル化を進める社内において、ストラグルしながらも成果を上げている意欲の高い日本人社員がいて、彼ら彼女らが会社を牽引していくのではないか、そして武田が成功した暁には日本企業がグローバル企業になっていくための一つの成功例として取り上げられるのではないか?という形で締めくくっています。

 

注目すべきは、肯定的な記事とは裏腹に、コメント欄には非常にネガティブなものが続いているという点です。「武田は株主利益を追求するあまり、日本らしさを失った」「今の武田はもう昔の武田ではない。昔のほうがよかった」「グローバル化が進んでいる企業では働きたくない」等。このコントラストが見ていて非常に面白く感じられます。

 

実はこの企業、今週の戦略論の授業でケースとして扱ったばかりでした。2015年の時点での取り組みについての文章を読み、クラスでディスカッションするというものでした。授業の中でもやはりトランスフォーメーションの懸念すべき点として、古い体質の文化をいかに変えていくか、という点にフォーカスが当てられており、この記事と非常にリンクしており非常に興味深く読みました。

 

このケースが面白いのは、創業200年超の企業が、いかにして変革を加えていったかという点にあり、日本はおろか世界的に見ても稀有なケースな訳です。日本という単純な視点にとらわれず、トランスフォーメーションの過程を見るという視点においても非常に興味深い企業なのかもしれません。今後も日本企業でこうした、「世界でも稀に見る」事例が増えていけば、もう少し日本も活き活きしてくるのかもしれませんね。

 

では、では