堀江貴文『なんでお店が儲からないのかを僕が解決する』ー読書リレー(103)ー

飲食店をまた違った角度で見させてくれる、そんな本です。 

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

 

 Kindle Unlimitedで読み放題対象となっていたので即ポチ。外食好きが興じてレストラン推薦有料サイト「テリヤキ」を運営する一面も持つ堀江貴文氏が、レストランについて述べた本です。自身の名前で勝負できるとこうしたサイドビジネスもどんどんできるので、本当に羨ましい限りではありますが、365日外食だという堀江貴文氏の経験値は凄まじく、様々な視点で外食産業を見ており、とても勉強になる一冊です。

 

この本の一貫した主張は、レストランとして経営的に成功するためには、古い伝統や格式にとらわれず、新しいことを常に挑戦し、他とは違う価値をどんどん創出して行くべきだというものです。簡単にまとめるとなんだそれだけのことかよと思われる方もいるかもしれませんが、それができていないのが外食産業だと堀江氏は指摘しています。

 

例えば寿司職人の話。堀江氏が以前twitterで「何年も修行に時間を費やす寿司職人はバカ」と投稿し、炎上したと言います。寿司職人といえば、修行期間中はなかなか酢飯を握らせてもらえず、皿洗いや掃除などの仕事をこなしながら見よう見まねで師匠の技を盗んで行く、というアプローチが求められていました。しかし、これはやはり非合理的な習得方法なわけで、寿司を握りたかったら直ぐに挑戦すればいいのにという意味での発言だったわけです。しかし、古い伝統にとらわれるあまり、そうした合理性とは程遠い手法が採用されているのも事実だといえます。堀江氏は業界の外から、斬新な視点で持ってこうした慣例を批判的に捉えただけであり、至極的を得た発言をしていると思います。

 

一見すると当たり前のことなのに、なかなか実行に移せないという状況は、外食産業のみならず他の分野でも起きているのではないでしょうか。合理性が求められるビジネスの世界においても、業務フローなどで不要なプロセスが含まれていたり、会議が多くなったりと、色々あるわけです。しかしそうしたものは、蓋を開けてみると「前任者の頃からこうしてやっていたのだから、変えられない」というような、過去に拘束されるケースも少なくありません。

 

人間の心理学的ななんかが働いていることは間違いありませんが、何れにしてもに人間は過去に束縛されやすい動物のようです。そうした状況を常に批判的に見れるかどうか。この本はそういった意味でも、外食産業を切り口に面白い視点を提供していると思います。

 

では、では