Se projeter dans l'avenir 〜INSEAD MBA留学記〜

2018年8月からINSEAD MBA留学。MBAで感じたことについて毎日つづります

前田裕二『人生の勝算』〜読書リレー(95)〜

こういう本は評価が難しいです。

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

 

 

SHOWROOM社の代表である前田裕二氏による、ご自身の人生における体験談と、そこで培った仕事論などについて述べられた本です。以前どこかの本でオススメされていたので、なんとなくチェックしていたのですが、Kindle Unlimitedで読み放題の対象になっていたので、無料で読むことができました。Kindle Unlimited、本当に便利です。

 

内容自体は、巷で見られるような「成功者の半生をたどる」といった類いのものであり、それこそ前田氏が入社したDeNA南場智子氏が書かれた「不格好経営」に似たような構成になっています。ただし、『不格好経営』がどちらかというと失敗談に近いようなものが多く書かれているのに対し、本書では、著者がどれだけ努力したか、愚直に頑張ったかが書かれている、オラオラ系の感じが見て取れます。

不格好経営―チームDeNAの挑戦
 

 

内容自体には特に真新しさはなかったので、ふんふんと読んでしまったのですが、(例えばメンターを持つだとか、セールスはバカになったほうが良いとか、コミュニティは参加型にしていくべきだ、などなど、さも自分が発明したかのような記述をされていますが、他の本でも至る所で言われています。またSHOWROOMのビジネスモデル自体も、結局は中国発のライブストリーミングサービスの日本版といった感じで、特に真新しさも感じられません)

 

最近思うのは、こうした若手起業家の発信の多さです。この方も1987年生まれのいわゆるミレニアル世代。若くして起業されて、社会からは「成功者」という観点で見られるのかもしれませんが、そうした方が日本で、書籍などを通じて続々と発信しているのです。前田氏以外でも、Wantedlyの仲暁子氏も「新モノづくり」論という形で、本を出していますし、前回ブログで紹介しましたが、佐藤航陽氏も、起業家としては珍しく、本を何冊も出版しています。本を出版しすぎているので、どちらが本業なのかわからなくなってしまいます笑

ミレニアル起業家の 新モノづくり論 (光文社新書)

ミレニアル起業家の 新モノづくり論 (光文社新書)

 
未来に先回りする思考法
 

 

ただ、こうした本に斬新なアイディアがあるのかというと、実はそうではないケースの方、というのが私の印象です。私自体が本を書いたことがないので大それたことは言えませんが、一応人よりも多く本は読んでいる(つもり)ですので、そうした読書体験から判断するに、大抵は、アメリカや中国などで言われている議論の焼き増し的な感じなのです。

 

また、では単純に読み物として、ノンフィクションのストーリーとして面白いかというと、そういうわけでもない。ナイキ創始者であるフィルナイト氏の半生を描いた『SHOEDOG』や、ピクサーエドキャットムル氏が書いた「Creativity Inc(邦題:ピクサー流 想像するちから」だったり、日本で言えば本田宗一郎氏の参謀として本田技研をトップ企業にした藤沢武夫氏やヤマト運輸小倉昌男氏などの本に比べると、深みに欠けるというのが印象です。

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

 
SHOE DOG(シュードッグ)

SHOE DOG(シュードッグ)

 

 

小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学

 

 

経営に終わりはない (文春文庫)

経営に終わりはない (文春文庫)

 

こうしたミレニアル世代というのは、外資系でバリバリ働いて、社会的使命で起業しました、という類いのストーリーでほぼ一貫している、いわゆる「優等生の回答用紙」的な本が多い印象を受けます。本を出したタイミングというのが若すぎる、というのがあるのかもしれませんが、ストーリーの深みに欠けるのもこうした本の特徴です。

 

それでもなお、どうしてこうした本が続々と世に出ているのか?これがミレニアル世代の特徴、といってしまえばおしまいですが、どうやらこの世代は「社会的使命を持って仕事をする」ということが美徳とされているのかもしれません。これもまたNewspicksBookなのですが、『モチベーション革命』という本の中で、今の若い世代(20代、30代)は、仕事のモチベーションが従来とは確実に異なっており、「やりがい」や「社会的使命」を大事にするのだといいます。こうした若い起業家の考えが、多くの人を惹きつけることにつながっているのかもしれません。

 

では、では