海外MBAの学費が高くても

MBAのプログラムスタートに向けて着実に準備を進めつつある今日この頃。そろそろ学費の支払いだとか現地の保険など色々考えなければならないタイミングになって来ましたが、改めて「お金かかるなあ…」と思ってしまう今日この頃です。数年かけて来た貯金の額面が学費やら航空券の支払いやらでどんどん減っていくのを見ると、流石に変な汗が出てくるようになりました。笑

 

MBA留学で特に大きな出費になるのが、現地での生活費やフライトなどをぶっちぎって、学費になると思います。我がINSEADは一年で€82000。日本円にして1060万円というかなり高額になっています。恥ずかしながら人生で一番高価な買い物です。(我々世代はマイカー・マイホームには全く興味ないので。)

 

それでも他のMBAプログラムと比べると(1年制ということもあり)かなり安価な方だと思います。例えばアメリカのMBA。メインは2年制なのですが、一年あたりの学費が60,000〜72,000ドル。日本円で最大1500万円ということになります。アメリカのMBAの学費は、US News Rankingsがご丁寧に全大学の学費をまとめており、各スクールがどれくらいの学費なのかは下記URLで一目瞭然です。

Best Business Schools (MBA) Ranked in 2019 - US News Rankings

 

ここに加えて生活費が重なってくるわけです。参考になるのが、下記Wharton MBAとHarvard MBAのサイト。いずれも想定生活費を掲載していますが、学費と合わせ年間100,000ドルかかることに。家族帯同でいった暁には3000万円くらい平気でかかっちゃう計算です。

mba.wharton.upenn.edu

Annual Cost of Attendance - MBA - Harvard Business School

 

アメリカの場合奨学金制度が充実していますが、そもそも競争原理が働く中で全ての人が無返済の奨学金を得られるとは限りません。ましてや私のような男性・メーカー勤務・際立った実績・バックグラウンドなしのノーマル中のノーマルの人間にとっては夢のまた夢のような話だと考えてしまいました。

 

さらに見過ごせない特徴として学費の値上げがあります。特にここ数年どのスクールも年々ごとに学費を上げてきています。これは需要がとてつもないから、学費をいくら上げてもMBAの門を叩く学生が一定数いるということを表していると思うのですが、いずれにしても我々私費生にとってはとんでもなく困った傾向だと思います。

 

MBAを考慮する上で大事になるのが、費用対効果の考えだと思います。これはすなわち、働き盛りの時期に一年ビジネスの現場を離れるという機会損失も考慮しながら投資した金額に対し、残りの人生使って回収できるか、という観点と言えます。例え学費が高いと思っても、投資した分きちんと回収できるという自信があれば、そのスクールに行くという判断を下すということに繋がるのでしょう。私も色々な検討をして投資回収できるという算段があったからこそMBAに行くわけですし。

 

こればっかりは、それぞれの置かれた状況と、MBAをどう活用して行くかというキャリアプランによって、人それぞれ投資可否判断基準は大きく異なってくると思います。ただ一つ言えるのは、MBAに行くかどうか迷っているんだったら学費が上がらないうちに早くいったほうがいい、ということでしょうか笑

 

では、では

Testosterone『筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方』〜読書リレー(134)〜

 

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方

 

 

Amebloでビジネスパーソンに筋トレを推進するブログを運営しているTestosterone氏。ブログは非常に人気を博しており、すでに多くの本を出版されていますが、今回は食事に関する本です。分量は短いですが、食事に関するキーポイントが詰まっており、充実した内容になっています。

 

この本によると、「マクロ管理法」という手法を用いて、「運動」よりも「食事」をしっかり管理することこそが、体調やパフォーマンスの向上につながるということです。マクロ管理法というのは、簡単に言えば体格・身長や日々の運動の習慣に基づいて毎日のカロリーの目安を決め、それに基づいて必要なタンパク質・脂質・炭水化物の摂取量を決めるというもので、文章にすると「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、やはりこれが王道なのでしょう。

 

思うに重要なのは、カロリーを意識し、それにつながる各種栄養素の必要摂取量を意識することで、毎回の食事のバランスを気にかけるということです。著者もかなり強調していますが、この世の中には意外なほど高カロリーな食事が多く存在しており、気づかないうちに過剰な栄養素を摂取してしまっている、ということにつながりかねないのです。牛丼やラーメンなどはそれに該当するでしょう。しっかりとカロリー計算を習慣化することで、そうした罠的な食事を回避していく意識づけができていく、ということなのです。

 

にしても、Testosterone氏が提唱するタンパク質の摂取量がかなりきついかな、とは思います。その摂取量とは体重の2/1000倍。すなわち70kgの体重だとして、140gの摂取が必要だと言います。鶏胸肉100gでだいたい25gですので、鶏胸肉換算で600g食べないと追いつかない計算になります。これはかなり厳しい。ということでプロテインが必要になってくるのですね。

 

まあ、この食事法は筋トレをしている人を対象としているので、他の本によっては体重の1/1000倍すなわり70kgの体重の人は70gを摂取すれば良いと提唱しているところもあります。これは自身がどのような健康体を望んでいるのか次第かと思います。

 

では、では

MBA Period Zero Week 2② 〜ブランドの4D〜

前回のブログに続き、今回もWeek2のブランディングについてまとめたいと思います。今日はブランディングにおける4Dについてです。

dajili.hatenablog.com

 

4Dというとあんまり馴染みのない言葉かもしれません。事実私もなんのことかさっぱりでした。数字+アルファベットでよく使われるビジネス用語としては、3Cや4Pなどがありますが、それではない、4Dだというのです。

 

これではさっぱりよくわからないので、その4Dが何をあわらしているのか、以下にまとめたいと思います。

 

1. Definition (定義)

これは比較的簡単に理解できると思います。そのブランドは、どのカテゴリーに属し、どういう価値をもたらすのか、社会にある問題に対して、どのような解決を提供するのか、ということをしっかりと明示する必要がある、ということです。

 

2. Differentiate (差別化)

ビジネスの世界においては、同様のサービス、製品を提供するのは一社であるとは限りません。自身が提供するブランドは、他社とどう異なるのか、これも明確にする必要がある、ということです。

 

3. Don't Dilute(希薄化してはならない)

メッセージはシンプルかつ簡潔に。一つのターゲットに対して異なる価値を提供していると、帰ってブランドの有するメッセージが弱まってしまう。

 

4. Don't Diverge

上記1. 2.で明確にされたメッセージを長期間にわたって発信し続けなければならない、ということを意味します。

 

つまりこれらをまとめると、ブランドは自身のアイデンティティを明示し、他とは異なる明確かつ簡潔なメッセージを、変えることなく発信し続けなければならない、ということになります。うーん、これだけ聞いていると大変そうですね笑

 

このレクチャーを聞いている時、ふと日本のブランドについて思うことがありました。

パナと三菱電機のCMがこんなにも違う理由 | IT・電機・半導体・部品 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

総合電機メーカーの二社のCMがここまでも違うということについてまとめたものです。確かに、同じ白物家電を紹介するにも、全く雰囲気の異なるCMを作り出しています。一方では共働きという理想を掲げるやり方、もう一方は今の日本のごく一般的(といっても少し所得が高めの層になっていますが)な「あるある」を映し出すやり方。

 

当初この記事を見たときには、二社ともメッセージが明確で、また他社との異なる表し方をしているなと思っていました。これに加え今回レクチャーを受ける中で、シンプルさと継続性という点で見ると、少し違った見方をすることができるなと思いました。

 

まずパナソニックについて、これは共働きという理想を掲げるやり方を採用していますが、これは「我々の製品によってあなたが求める理想の生活を叶えます」というメッセージかと思います。これはコーポレートステートメントをWonders!に変更してからの路線と言っても良いと言えるのですが、どの製品にも共通して「理想を叶える」というキーワードを持っているような気がします。ビューティー家電やPana Homeについても、同様のコンセプトで進められており、上記3. 4.にも当てはまりそうです。

 

一方、三菱電機の方は、家電では「痒いところに手が届く」という「ニクいね!三菱」をキャッチフレーズとしており、このメッセージは他のBtoC製品では共通(サイネージや空調など)です。一方で三菱は他のBtoB製品のCMも行なっており、これについては技術を推しているなど、若干メッセージ性が異なるところがあります。これは3.に基づき、一つのターゲットに一つのメッセージをあて、BtoCとBtoBで異なるメッセージをうまく使い分けているといえるでしょう。

 

ブランディングについては今回さわりしか勉強することができませんでしたが、学べば学ぶほど「なるほど」と思ってしまうようなところがありそうな分野でもあります。MBAプログラム開始後に、どのように議論が展開されていくのか、楽しみです。

 

では、では

日本がキャッシュレス化に向けて動いているけど

キャッシュレス化に向けて、経済産業省が動く(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

今日見つけた面白い記事。経済産業省が、キャッシュレス決済の規格統一化に向けて動き出していることを日経が報じたもので、うまく行けば急速に普及するかもしれないと結論づけています。

 

前回このブログでも中国のキャッシュレス化を書きましたが、日本もようやく動きが出てきた、と言えなくもないでしょうか。

dajili.hatenablog.com

 

ただし、少しきになるのが、「大手銀行や楽天NTTドコモKDDIが加わる「キャッシュレス推進協議会」(仮称)を立ち上げる。」という点です。日本の場合、こうした新しい取り組みも、結局大企業を中心にトップダウンでやってきてしまうのか、と思ってしまいます。

 

個人的にはこのキャッシュレスというのは、海外にも展開できるようなビジネスチャンスを秘めていると思います。しかし、このように日本国内だけの、しかも大手企業による協議会を行うことで、国内のみの視点だけに止まってしまうのではないかなという懸念があります。

 

過去に携帯電話の需要が高まった際に、各種携帯メーカーが日本の規格に基づいて続々と製品を投入し、結果としてガラパゴス化。利便性で勝る海外メーカー勢に一気にシェアを奪われたということがありました。そもそも規格化というのはユーザーフレンドリーを目的としていますが、その規格化自体が特定の供給者のみに限定されて作られてしまうと、供給者の都合で仕様が固まってしまい、結果としてユーザーフレンドリーとは程遠いものになってしまうというジレンマをはらんでいます。今回のキャッシュレスも、日本で「日本オリジナル」の規格化にこだわるあまり、利便性がないがしろになってしまうことがないようにしてもらいたいものです。というか、こういうことをしているうちに中国勢(アリペイ)に進出されるんじゃないかな、と思っています(まあ、そうならないよう日本が規制をかけているのでしょうが)

 

では、では

MBA Period Zero Week 2① 〜ブランドの通用化〜

 

前述のPeriod Zeroの続き。今週はWeek2を受けているのですが、先週のビジネスモデルとはうってかわって、今週はブランディングの話です。

dajili.hatenablog.com

 

製造業にどっぷり浸かっていた私にとっては、あまりブランディングを考える機会がなかったので、今回のレクチャーはかなり新しい知見が多く、刺激的でした。多分一回では書ききれないと思うので、わけて書きたいと思います。まずは、タイトルにもある通りブランドの通用化について書きたいと思います。

 

ブランドの通用化。日本語だとあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、英語ではgenericizationと言います。これ自体も私は初めて見ましたが笑 こうした概念があるようです。

 

この通用化、何を表しているのかというと、ブランドネームが、そのブランドを付した商品そのものにとどまらず、その商品が属するカテゴリー全てを代表する言葉になること、を指しています。

 

例えば、バンドエイド。私はよくこの言葉を使っていましたが、これは実際にはジョンソンエンドジョンソン社が提供する「絆創膏」のブランドネームです。しかしこれが一転して、全ての絆創膏をバンドエイドと呼ぶ人はいないでしょうか?このような現象のことを通用化というみたいです。これ以外にも、ポストイット(=付箋)だったり、ルンバ(=お掃除ロボット)だったり、ウォークマン(=ミュージックプレーヤー)だったり、この世の中に色々と溢れていると思います。

 

私の従来のイメージにおいては、ここまでブランドが浸透するのは良いことだ、と思っていました。なぜなら、そのブランドネームが商品そのものを指し示すということは、他社が作り出す製品もそのブランドネームのもとで認知されていくから、といえます。しかし、実際には弊害があるようです。

 

 

特に弊害になってしまうのが、ブランドの固定化だと言います。これはすなわち、ブランドがある商品とセットになってしまうため、ブランドそのものが商品というカテゴリーの中に拘束されてしまう、ということです。例えばXeroxXeroxと聞くと、コピー機が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかしXeroxコピー機はもちろんのこと、ICTを中心としたソリューション提案も行なっているので、必ずしもコピー機だけを作っているわけではありません。しかし消費者からの認知として「コピー機」という強いイメージがあるために、他の事業に苦戦してしまう、というジレンマに陥ってしまったと言います。

 

これは、ブランドそのものの考え方を改めて検討させてくれる弊害です。従来ブランドというのは商品を表すもので良いというのが私の考えでしたが、よくよく考えるとブランドというのは商品そのものではなく、その商品の背後にある「イメージ」をあわらしているわけです。例えばアップルというと、革新的なデザインと直感的な操作などのイメージを湧くことはあっても、アップルというブランドそのものが、直接「携帯電話」や「PC」に結びつくことはありません。これがアップルというブランディングの強みであるわけで、例えばアップルが仮に「icoffee」なんてカフェを開いたとしても、それはそれで成り立ってしまうわけです。

 

しかしブランドネームが特定の商品と結びついてしまうと、そうしたことは困難になります。前述の例で言えば「Xeroxcafe」と聞くと何か「コピー機がいっぱいおいてあるようなカフェ」を想像してしまうかもしれません。すなわちブランドというのは製品を表すのではなく、価値を表す(レクチャーの言葉では「A brand is a known name that promises valuable consumer benefits」)ものであるべきだ、ということです。

 

では、では

佐渡島庸平『ぼくらの仮説が世界をつくる』〜読書リレー(133)〜

気がつけば6月入って初めての読書リレーです。読書のペースは今も衰えていないのですが、徐々にMBAの準備に伴いMBAトピックに比重をおいているため、少しずつ読書リレーは少なくなってくると思われます。まあ、粛々とやっていきましょう笑。

 

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

 

 

漫画の編集者として、「ドラゴン桜」や「宇宙兄弟」などの数々のヒット作を生み出して来た著者による仕事論をまとめた本です。仮説から物事を考えていった方が良いという主張がメインでされています。「世界は、誰かが思い描いた「仮説」でできている」というのが著者の主張です。

 

著者曰く、人間は何か決断や行動をするとき、どうしても行動の前に情報収拾をしてしまうと言います。これは人間の行動として仕方ないのですが、これをやりすぎるあまり、前例主義に陥ってしまうと指摘します。なぜなら、情報をベースに意思決定をすると、与えられた情報というのは全て過去のものであり、過去から未来を予測してしまうことになるため、どうしても過去に行った決定や事象を元に判断をしてしまうことにつながるからだと言います。

 

それらを断ち切るためには、「情報→仮説→実行→検証」ではなく「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考する、というのが有効だと言います。すなわちまっさらな状態で仮説を立ててみる。そうすることで、新しいアイディアが生まれていくと言います。

 

個人的には、この考え方は否定しません。情報から先に集めてしまうと、どうしても情報に縛られてしまう。また、情報を先に集めてしまうと、全ての情報を一旦集めるということになり、莫大な労力がかかります。これでは短期間で結果が求められるビジネスの世界においてはタイムアップになる可能性が非常に高く、有効な手段ではないからです。これと同類の主張は大前研一氏の伝説の書「企業参謀」や、BCGの内田和成氏の「仮説思考」に詳しいです。

企業参謀 (講談社文庫)

企業参謀 (講談社文庫)

 

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 

ただ、この本に関していえば、論理的誤りが散見され、読んでいて「いやいやちょっと待って」と思う記述が多かった印象を受けます。例えば、この本ではこの仮説思考の有効性を証明する実例として、宇宙兄弟をどのようにヒットさせたかの行動を取り上げています。ここで取り上げられているのは、ターゲットを宇宙に興味がなさそうな20代・30代女性に絞り、彼女らのコミュニケーションの場である美容院にプロモーションをかけることによって着実にファンを増やしていったという事例です。宇宙に興味がなさそうな女性にスポットライトを当てるという点で、とても独創的な仮説に見えるのですが、この仮説はどこから来たかというと、著者が所属する出版業界において存在していた「ヒットするためには女性の支持が不可欠」という鉄則から来ていたようです。ここからは、「何もない更地から仮説が生まれた」とは言いがたく、結局は出版業界のセオリーを宇宙兄弟においても当てはめただけであり、ある意味では前例主義にのっとったものだ、といえなくもないでしょう。

 

加えて、本書の後半の部分で、時代の流れを知ることは大事だと述べているのですが、そこで時代の流れの見極めのために「過去にも同じようなことがなかったかを想像している」と述べています。これは、結局過去の情報をベースに仮説を立てているに過ぎないわけで、結局は「情報→仮説→実行→検証」のサイクルに乗ってしまっているんじゃないか、とツッコミを入れたくなるところでした。

 

私が思うに、何か新しいアイディアが生まれるのは二つのパターンしかなくて、一つは異なる二つのものを組み合わせて新しいものを作る着想的な手法と、あとは本当にゼロから新しいものを作り上げる直感的な手法があると思います。後者については、山口周氏が述べるような「クラフト(経験)」や「サイエンス(分析・科学)」ではない、「アート(直感)」だとして、センスの問題だと思っています。このセンスというものは厄介で、そんな一朝一夕でできるようなものではないので、全ての人が等しく使える手段かというと、そうではないと思います。

 

 

ただ、着想についてはセンスは必要なく、色々な知識を広く浅く蓄えることによって、組み合わせによる新しいアイディアを生み出すことができると思っています。このためには、仮説の時点で多くの引き出しが持てるよう、様々な知識を蓄えることが大事なのかなと思うわけです。前例主義だと言われても、それが違う場所で適用されれば前例ではなくなるわけで、そうしたアイディアを出していくことこそ価値あることなんじゃないのかなと改めて再認識したのがこの本です。

 

では、では

海外MBAと日本企業の相性

"MBAは役立たず"というウソが出回る理由 | プレジデントオンライン

 

今日見つけた面白い記事。MBAに関する記事がやたらと多いプレジデントオンラインから今日も記事が出ていたのでハイライトします。

 

この記事が浮き彫りにしているのが、日本企業のMBAホルダーの活用方法です。MBA否定論者もこの社会には少なからず存在しているのですが、その論者の拠り所となっている議論が以下のようなものです。

 

・日本の企業のキャリアには役に立たない(就活・転職活動で役に立たない)

・理詰めで考えすぎる傾向があり、日本企業の組織文化と異なる

 

思うに、MBAホルダーと日本企業の相性が悪いということが、そもそものMBA不要論の根源にあるような気がします。それは以下の点でマッチしないと言えるでしょう。

 

①日本企業は、座学で学んだことよりも、業務を通じた経験を重視する傾向がある(この記事でも「経験至上主義」と形容しています)

→The 座学のMBAがこの経験至上主義とマッチしない

 

②日本企業は、依然として新卒一括採用・年功序列の経路依存性を持つ人事システムを持っており、中途採用・転職組に対する門戸がなかなか開かれにくい状況にある

→転職・中途となるMBAがこの人事システムとマッチしない

 

③日本企業は、ミドルマネジメントを中心としたボトムアップ式の意思決定が色濃い傾向がある。

トップダウンを志向するMBAがこの組織論とマッチしない

 

といえるでしょう。

 

こうした理由から、MBAと日本の企業の文化がマッチしない→日本の企業がMBAを活用しきれていない→だからMBAは不要というような議論の流れに持っていっているような印象を受けます。

 

しかし、この考え方には疑問を持たざるを得ません。月並みな表現ですが、日本型企業の特徴と言われた経験至上主義が、新卒一括採用・年功序列の人事システムが、ボトムアップ式の意思決定方法が、これからも成功し続けるとは限らないわけです。

 

ただ、私は単純に反対意見を述べたいわけではありません。もっとメタな視点から考える必要があると思うのです。多分もっと重要なのが、この議論の根底にある「日本企業就職神話」が、何か日本のキャリア観を拘束させているのじゃないかなと考えてしまうわけです。

 

MBAが不要なのは、日本企業との相性が悪いから」という考えの中には、「日本人は日本で日本企業で働く」ことがある種前提条件として設定されていると思います。ただ、この前提条件がいつまでも続くといえるのか、疑問が残るところがあります。すでに多くの外資系企業が日本に進出している中で、日本企業だけでなく外資とくにアジア発の企業への就職、というのも一つの選択肢として浮上してくるのではないかなと思っています。現に携帯メーカーのHuaweiは日本での採用を強化しているといいます。この傾向は続くのではないかなと思っています。

 

あとは、日本人として、そのまま日本に残ることが良い選択肢なのか疑問も残ります。今上海にいるので実感するのですが、便利さでいったら上海の方が上です。子育ても上海の方が、周囲の反応が全然違うのでとても楽です。こっちに来て、真剣に海外移住を考えたくらいです笑 もっと自由に考えてもいいのではないか、と思えてしまいます。

 

 

以上のように、MBA不要論には「日本企業就職神話」があるのですが、すでに綻びを見せつつあるのが現状かと思います。この前提条件が崩れていったときに、MBAがどのように再解釈されるのか、個人的には楽しみなところです。

 

では、では