ブルー・オーシャン戦略とINSEAD

ブルー・オーシャン戦略。ビジネスに携わる方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。肌感覚では、INSEADよりも、ブルー・オーシャンなら聞いたことがあるという方のほうが多いような気もします笑

 

このブルー・オーシャン戦略、現在INSEADに在籍するW・チャン・キムレネ・モボルニュが2005年に提唱した概念で、競争の激しい、企業同士が血で血を洗う「レッドー・オーシャン」で戦うのではなく、競争のない「ブルー・オーシャン」を創造していくべきだという概念です。この書籍の出版以来経営理論の本においてはベストセラーとなり、世界中のビジネスパーソンに愛されている概念なのかなと思います。

 

 

日本でもこのブルー・オーシャン旋風は非常に勢いがあり、東京大学京都大学早稲田大学にも「ブルー・オーシャン・インスティテュート」が存在し、ブルー・オーシャンの事例研究が行われるといいます。そして「ブルー・オーシャン・シフト」に見られるように日本でも様々な事例が見られるとしています。

 

この理論の特徴は、従来の競争戦略論とは一線を画しています。というのも、W・チャン・キム本人曰く、従来の競争戦略というのは、マイケル・ポーターの「競争の戦略」で見られる「5 Force」理論にあるような、ある意味「いかに他者と差別化を図るか」というものでした。この理論においては、市場の分析から競合の分析に至るまで、敵と戦場を理解し、そうしたある種他者の存在によって位置付けられる自社のケイパビリティ・アイデンティティをうまく活用していくことが大事だとされてきました。すなわち、戦略とは「いかに競争するか」というのが従来の考え方でした。

競争の戦略

競争の戦略

 

 

そこでW・チャン・キム教授は「競争するのではなく、どうやって新しい市場を作り出すのか」という点に着目したそうです。そうして企業研究をしていくうちに、一つのパターンを見出した。それがブルー・オーシャン戦略の肝である「今までに顧客として捉えられていなかった顧客の捕捉(Capturing non-customer)」だといいます。それを理論化したのがこの戦略というわけです。

 

よくブルー・オーシャンを競争の比較的少ないニッチ市場と捉えて表現する方がいらっしゃいますがそれは少々間違っているような気がします。というのも、ブルー・オーシャンというのは作り出されるものであり、現に見えている市場を競争が少ないと雖も、競合がある時点でそれはある種のレッドオーシャンな訳です。ブルー・オーシャンの特徴として、価値の創造とともに、価値の捕獲(Capture)も同時になされるという点、そしてそのブルー・オーシャン自体が、企業のアイデンティティになるために模倣されにくい、という点です。

 

このブルー・オーシャン戦略、INSEADではどのように学ぶことができるのかというと、実はしっかりと選択科目にブルー・オーシャン戦略に関わる授業があります。その名も「Blue Ocean Strategy」と「Blue Ocean Strategy Study Group」というものです。この二つの授業では、この理論をたっぷりと扱います。前者は理論をベースにケース・スタディやシミュレーションを通じて戦略の理解を深めるという目的で行われるものであり、後者はブルー・オーシャン戦略に基づいた事例分析をグループで行うという、ある種の論文執筆のようなものです。そしてこれら二つの授業の特徴は、一部分において、この理論の提唱者であるW・チャン・キム教授自身が講義を行うというものです。

 

先週、この後者の授業があり、グループワークに参加してきました。数人規模のグループに対して、W・チャン・キム教授がゼミ形式で指導してくれるわけですから非常に有意義な時間です。これだけで、INSEAD MBAの学費の元が取れたような気がします笑

 

それはさておき、非常に印象的だったのが、この理論とともにW・チャン・キム教授が目指すINSEAD像を教えてくれたことです。INSEADMBAプログラムは近年とても高い評価を得ているわけですが、それもブルー・オーシャン戦略によって新しいターゲット層をしっかりと確保できたからだといいます。INSEADの特徴である①1年制の集中プログラム、②欧州・アジアキャンパスによる多様性の確保、③マチュアさ(平均年齢が高め)というのは、ある種MBAの中でも特徴的なものです。特に②はビジネススクールにおいて複数キャンパスを持つトップスクールはINSEADくらいで、まさに上述したブルー・オーシャンの特徴を体現しています。そして今後は、現在のコンサルスクールというものに加え、アントレで成果を出していくといいます。正直なところ私も入学前まではアントレプレナーシップにあまり興味が湧いていませんでしたが、アジア・ヨーロッパに限らずこのINSEADのキャンパスに溢れるアントレ精神に良い意味で刺激を受けています。実際のところ、INSEAD発のスタートアップは増えてきているので、それらがINSEADのブランドをさらに高めていくことになるのではないかなと。

 

ブルー・オーシャン戦略について興味を持たれた方で、しっかりと戦略を学びたいと人にとってINSEADは良い環境なのかもしれません。一方で、アントレ精神にも触れる良い場所でもあると言えるでしょう。

 

では、では

武田薬品のトランスフォーメーション

 

headlines.yahoo.co.jp

 

2015年にトランスフォーメーションに踏み切った武田製薬の今を取り上げる記事です。そこでは、CEOに外部から外国人を招聘し、トップダウンの大号令のもとでグローバル化を図った武田製薬が、仏大手のファイザーを買収するなどのM&A戦略を実施していくことで成長を図っている、そのような過程にある武田薬品が、「気づけば『社員9割が外国人』」という社員の眼差しで取り上げられています。日本人社員からすると、今まで慣れ親しんだ会社がいきなり外資のような雰囲気になるわけですからそれはそれで驚きです。そうした中で、武田薬品で働く日本人社員がどのようにしてその変化を受け入れて行ったのかについて記事が書かれています。

 

少し驚いているのが、この記事が、日本の企業の現状をポジティブに捉えているという点です。急速にグローバル化を進める社内において、ストラグルしながらも成果を上げている意欲の高い日本人社員がいて、彼ら彼女らが会社を牽引していくのではないか、そして武田が成功した暁には日本企業がグローバル企業になっていくための一つの成功例として取り上げられるのではないか?という形で締めくくっています。

 

注目すべきは、肯定的な記事とは裏腹に、コメント欄には非常にネガティブなものが続いているという点です。「武田は株主利益を追求するあまり、日本らしさを失った」「今の武田はもう昔の武田ではない。昔のほうがよかった」「グローバル化が進んでいる企業では働きたくない」等。このコントラストが見ていて非常に面白く感じられます。

 

実はこの企業、今週の戦略論の授業でケースとして扱ったばかりでした。2015年の時点での取り組みについての文章を読み、クラスでディスカッションするというものでした。授業の中でもやはりトランスフォーメーションの懸念すべき点として、古い体質の文化をいかに変えていくか、という点にフォーカスが当てられており、この記事と非常にリンクしており非常に興味深く読みました。

 

このケースが面白いのは、創業200年超の企業が、いかにして変革を加えていったかという点にあり、日本はおろか世界的に見ても稀有なケースな訳です。日本という単純な視点にとらわれず、トランスフォーメーションの過程を見るという視点においても非常に興味深い企業なのかもしれません。今後も日本企業でこうした、「世界でも稀に見る」事例が増えていけば、もう少し日本も活き活きしてくるのかもしれませんね。

 

では、では

INSEADと旅行

しばらく中国語のネタが続いたので、INSEADに戻して見たいと思います。題して、旅行について。

 

INSEADは三つのキャンパスを持ち、いずれロケーションが異なることから、様々な学生が集まってきます。そしてINSEADを特徴付けているのが、学生のモビリティの異常なまでの高さです。これが如実に現れるのが旅行です。

 

INSEADの学生はとにかく旅行が好き。もちろん個人差はありますが全体的には間違いなく旅行好きの人々が集まっていると言えるでしょう。グループワークや課題で忙しいにも関わらず、週末になると大抵誰かがどこかの国に行っていて、それをSNSに上げている。それが引き金となって、「私も行きたい!俺も!」というムーブメントを作り出し、次の週にはまた別の人が同じ場所に行っていたりする…。そんなことが日常茶飯事的に発生しています。

 

そうして周囲がアクティブに動くのを目の当たりにし、他の学生も同じように旅へと駆り出されます。私自身、あまり旅行はいいかなと思っていたのですが、あまりにもクラスメートが旅行に行く姿を見て、「これではもったいない!」と思い、色々と旅行に出たものです。

 

INSEADは10ヶ月のプログラムですが、キャンパス含め、私がこの10ヶ月間で行った場所をリストアップして見ます。

 

フランス(パリ・フォンテーヌブロー・ボルドー・ノルマンディー)

イギリス(ロンドン)

ドイツ(ベルリン・ケルン)

デンマークコペンハーゲン

ベルギー(ブリュッセル

スペイン(バルセロナ

クロアチア

オーストリア(ウイーン)

シンガポール

マレーシア(ジョホールバル

インドネシアジャカルタ・バリ)

アメリカ(サンフランシスコ・シリコンバレー

 

キャンパスを除き10カ国。1ヶ月平均で1ヶ国新しい場所に行っている計算になります。

 

ちなみにこの数字、周囲を見るとこれでも少ないほうです。ヨーロッパでも、私が知っている限りでポルトガルアイルランド・オランダ・ハンガリールーマニアノルウェーアイスランド等。アジアでも、ミャンマーカンボジア・タイ・オーストラリア・フィリピン・UAEレバノンイスラエル・トルコ・インド・ヨルダン等。多い人だと20ヶ国以上巡っているのではないでしょうか。

 

ちなみに、アメリカとスペインを除き、これらすべての国に娘(現在1歳近く)を帯同させて、家族で旅行に出かけています。特になんとも思っていなかったのですが、日本人にこれを説明すると相当な驚きをもって聞いてくれます。あれ、なんでだろうと思っていたところ、以下の記事を見つけ、「ああ、日本の感覚だと子育てしたら海外出るの難しいんだな」と改めて感じてしまいました。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190606-00010002-huffpost-soci

 

人間というものはまさしく習慣の生き物で、私も知らず知らずの間に「たとえ忙しくとも子供と一緒に海外に旅行する」というのが当たり前の日常になってきてしまったわけです。そうした意味では、INSEADのこの環境は子育てや家族という概念におけるリミッタを外してくれたのかなとも思っています。たとえ治安が悪くても、住環境が悪くても、気をつけるポイントさえ気をつければ楽しく旅行ができるとわかったのはこれらの旅路を通じてです。こうした点からも、子育て・家族に違った観点を与えることができたのも、このINSEADを通じての学びだったと言えるかもしれません。

 

では、では

 

 

中国語の単語は難しければ難しいほど日本語と同じ意味になる

今回は中国語の単語と熟語について。日本人から見た中国語の単語と熟語の特徴について説明したいと思います。

 

前回の記事で、中国語の漢字はほとんど日本語と同じと説明しました。これは簡体字も含めると、実に95%近くの漢字が同じということになります。 

dajili.hatenablog.com

 

しかし、同じ漢字が使われているのは理解できたとして、意味はどうでしょうか?もちろん意味が違えば、たとえ同じ漢字を使っていたとしても全く意味がなくなるわけです。意味が違うのに日本語の考え方そのままに中国語を使ってしまうと、いらぬ誤解を与えてしまう事態が発生しかねません。

 

実際に、日本語と中国語で同じ漢字を使うにも関わらず意味が全く異なるものがいくつか存在します。これは特に、中国人が日本に旅行に来た時に必ずといっていいほど話題に上がります。中には違いがありすぎておもわず笑ってしまうものがいくつかあります。

 

以下に実例を紹介したいと思います。

 

①大丈夫 :no problemではなく、立派な男性という意味で使われます

②前年 :去年の意味ではなく、一昨年の意味で使われます

③合同 :中国語では、契約という意味になります

④放心 :心ここに在らずという意味ではなく、「安心する」という意味で使われます

 

このように、日常で使われる単語の中には中国語と日本語で意味が異なるものがあり、中国語学習者を困らせるものが多く含まれています。

 

しかし私はこうした事例があるのを認めつつも、それでも「日本語と中国語の単語はほとんど同じ」と主張したいです。そしてそれは、ビジネスなど難しい言葉を使えば使うほど同じであると言えます。

 

それはどういうことか、早速具体例を用いて説明したいと思います。以下は前回も掲載した文章です。

 

金融是国家重要的核心竞争力,是推动高质量发展的重要支撑,作为北京第一大产业,金融业不仅推动了北京经济持续平稳健康发展,也有力促进了北京的城市规划、建设和高质量管理。

 

この中で、中国語(簡体字を日本語版の漢字に戻したあと)と日本語の漢字の意味が全く同じになるのは、以下になります。

 

金融・国家・重要・核心・競争力・発展・重要・北京・大産業・金融業・北京・経済・持続・健康・発展・建設・管理

 

どうでしょう?かなりのフレーズで意味が同じという結果に驚かれる方も少なからず一らっしゃるのではないでしょうか。

 

そして、上記のいずれのワードも、抽象度の高い概念を表現する言葉の割合が増えていると思います。特に重要・発展なども、この単語だけではなかなか意味を判別しづらい、抽象度の高いワードとなっています。

 

では、なぜこうした抽象度の高ければ高いほど、日本語と中国語の言葉の意味が同じになってくるのでしょうか。それはその言葉が、ルーツを共有しているからです。しかもそれは、なんと日本にあるのです。

 

それはどういうことか、少し歴史の話をしたいと思います。日本が明治時代に入ったあと、「文明開花」「近代化」の大号令と共に、多くの日本人研究者が西洋の近代的概念を研究し、日本に紹介していきました。その際に、そうした近代的概念を漢字で表現していきました。例えば政治や経済、社会などといった言葉は、この時に作り出された言葉だと言われています。

 

そして、それが中国語でも使われるようになります。当時多くの中国人留学生が日本にいて、西洋の近代概念を日本から学ぼうとしていました。その際に中国人留学生が行ったのは、日本人が作ったいわゆる和製漢語といったものを、中国語でそのまま使用したのです。これが、ルーツを共有していると先ほど説明した所以です。

 

それゆえ、特に学問の分野で非常に多くの共通性が見られます。例えば、中国でトップと呼ばれる北京大学の学部の名前を見てみると、日本の大学と間違えてしまうくらいとても日本の学部の名前と似ています。

 

理学部                

数学科学学院     

物理学院            

化学与分子工程学院        

生命科学学院                   

城市与环境学院 

地球与空间科学学院             

心理与认知科学学院        

建筑与景观设计学院        

 

人文学部                    

中国语言文学系 

历史学系            

考古文博学院     

哲学系(宗教学系)                      

外国语学院         

艺术学院            

对外汉语教育学院         

歌剧研究院         

社会科学学部                   

国际关系学院     

法学院  

信息管理系         

社会学系                          

政府管理学院     

教育学院            

新闻与传播学院               

体育教研部         

新媒体研究院     

教育财政科学研究所        

经济与管理学部               

经济学院                

人口研究所         

国家发展研究院  

 

もちろん、中国留学生が輸入したのは漢字そのものですので、読み方は全く異なります。例えば社会という言葉は日本語で「shakai」ですが、中国語では、「shehui」となり、別の読み方がなされます。そしてこれらの漢字は、特に名詞で共通しているケースが多いようです。

 

これがわかると、面白いことができます。中国語を勉強していた私は、感じの読み方を少しずつマスターしていた時期なのですが、この事実を知ってからは単語をむやみやたらに覚えることをやめました。その代わり、難しい言葉を話す時には、日本語の単語をまず思い出し、それを漢字だけ中国語読みするということをしました。そうするとほとんどの場合で意味が通じるのです笑 これはまさに、前回の記事で紹介した「フランス人がフランス語の脳で英語をしゃべる」と同じことではないでしょうか。

 

ただしこの法則には一つ落とし穴があります。それは、日常に使われる単語であればあるほど似ていない比率が大きくなるのです。また動詞も少し異なる意味になるケースがありますので、そこは注意が必要です。

 

では、では

「的」にまつわる、中国語と日本語の共通点

今日は日本人が中国語を勉強する上で重要な「的」について説明したいと思います。この「的」という言葉、中国語を知らない方でも少しは見聞きしたことがあるのではないでしょうか?
 
簡単に言えば、この「的」というのは、日本語で言うところの「〜の」という意味になります。例えば日本語でも、「私の家」という言葉がありますが、これを中国語に訳すと「我的家」になります。なんだかとても簡単そうですね。
 
また、この「的」という言葉は、一部例外を除き、この「〜の」という意味でしか使われません。日本語では、この言葉は「まと」という意味がありますが、中国語には「まと」という意味で使われることはありません。
 
ではなぜこの「的」という言葉を、数ある他の中国語のフレーズの中でも一番最初に、しかもこのタイミングで説明するのか。それにはきちんとわけがあります。というのも、この「的」という概念とその使われ方を知れば、日本語と中国語が似ているとますます思うようになるからです。え、どういうこと?と思われる方もいらっしゃると思いますので、ここで前の例文を用いて、的の使われ方について説明したいと思います。
 
广东省的经济规模已经超过了香港。快速成长的Tech产业是其中一个贡献。
 
この文章の中で、「的」という言葉は2つ使われています。一つ目が「广东省的经济规模」ですね。この文章の中に簡体字が含まれていますが、前回の記事で紹介したルールに基づいて解釈してみます。まず「广东省」ですが、广东だけだと推測が非常に難しいですが、これに省がつくことによって、中国のある省を表しているんだなと推測できます。ここから日本人に馴染みのある中国の地名で、广が使われているところといえば…?そう、広東省くらいしか思いつきませんよね。これで正解です。ということで広東省と置き換えます。次に、经济ですが、これは簡体字といえども、なんとなく「経済」と読むことができそうです。最後に规模。これも、規模と容易に推測ができますので、日本語の漢字に置き換えると、「広東省的経済規模」になります。ここで思い出していただきたいのが、的というのが「〜の」に置き換えられるというルールです。そうすると、この文章というのは、「広東省の経済規模」となります。そう、これで正しいんです。すなわち、これだけで中国語の日本語訳ができたということになります。
 
同様に快速成长的Tech产业も「快速成長のtech産業」とすることができます。この文章では「〜の」と訳すと少し日本語として違和感がありますが、伝わらなくもありません。
 
ここでこの「的」のすごさに気づいた方、さすがです。え、どういうこと?と思われた方、ご安心を。この「的」の破壊力を知ってもらうために、別の例をあげたいと思います。
 
かなり意図的ですが、以下の文章も中国語としてきちんと成立します。
 
 
この文章を読んでみてどう思われましたか?実はこの文章に、日本人にとってはとてもありがたい、中国語の文法上のある2つのルールが隠されています。こちらについてそれぞれ説明していきたいと思います。
 
一つ目は、「『的』という言葉の前には、名詞も動詞も形容詞も関係ない」という点です。つまり、どんな言葉が来ても、日本語的には「〜の」と置き換えてしまうことができる、ということなのです。先ほどの例でいうと広東省は名詞、成長は一応動詞的に使われています。
 
二つ目は、「修飾の順序が全く同じ」ということです。
 
日本語の場合、何かを修飾する際には、被修飾語の前に並びます。例えば、「向こうに座っている髪の長い若い女性」では、女性という被修飾語に、「向こうに座っている」「髪の長い」「若い」という三つの修飾語が前に並んでいます。実はこれと同じルールが中国語でも同じなのです。すなわち、「向こうに座っている」+「的」+「髪の長い」+「的」+「若い」+「的」+「女性」という形で、表現することができるのです。これは日本語話者にとってはとても役に立つのです。
 
なぜ役に立つのか?日本人が日本語の考えのままスムーズに言葉を表現できたり、中国語を日本語に置き換えたりすることができるからです。これが違うとどうなるか、英語で考えてみましょう。例えば先ほどの例で言えば、「向こうに座っている髪の長い若い女性」は、私の拙い英語能力によれば、「A young woman who is sitting over there and whose hair is long」になるかと思います。この例で言えば、被修飾語に対して、修飾語が前後するため、我々日本語ネイティブスピーカーからするとどうしても難しく聞こえてしまいます。大学受験を経験された方なら、こういった文章が日本語訳の問題として出題され、「何が修飾語か、何が主語か」なんて線を引きながらじっくり考えたこともあるかと思います。そうした作業が、中国語ではいらないのです。きちんとした表現で言えば、「日本語と同じ並びなので、難しく考えなくて良い」ということになります。
 
これら二つの「的」の特徴を踏まえるとどうでしょう?これは日本人にとってとても都合が良いのです。というのも、中国語のフレーズ(文章ではありません)も、日本語の脳を使って簡単にできるからです。上記の例でも、向こうに座っている髪の長い若い女性というのも、日本語の考えそのままに中国語の文章を作ることができます。
 
これは、文章の読解というよりかは、文章を作る、すなわち作文やスピーキングの際に活かすことができます。中国語を知らなくても、日本語の熟語を「的」でうまくつなぎ合わせることで、複雑なフレーズを作ることも不可能ではないのです。
 
では、では

日本人流解読法で簡体字の9割は解読できる

前回様々な事例を使って、中国語で使われている漢字はほとんどが日本語で使われる漢字と同じと言うことを説明しました。半分が日本語と同じと言うことで、それだけで中国語に親近感がわきませんか?今回は、残りの45%である「簡体字」について説明したいと思います。

 

簡体字というもの。読んで字のごとく「字の体を簡略化したもの」になります。漢字というのは世界中にあるありとあらゆる文字の中で、とにかく画数が多い。私たちにとって馴染みの深いアルファベットやキリル文字、ハングル文字なども、大体が5~7画でかけてしまいます。それに対して漢字は概して画数が多く、10画を超える漢字も多く存在しています。筆記試験等で漢字の画数の多さに悩まされた人は私だけではないはずです。そこで、「難しいものを簡単にしようじゃないか」というコンセプトで生まれたのがこの簡体字というものです。

 

この簡体字の歴史は深く、漢字が生まれた頃から存在はしていたようなのです。しかしながら公の場で公式な形で使われるようになったのは実は戦後になってから。そういう意味では比較的新しい文字な訳です。

 

ではなぜ簡体字が使われるようになったのか。それには中国について少し説明しなければなりません。簡体字が使われる以前、中国における識字率は非常に低かったと言います。それもそのはず、こんなに難しい漢字が使われているので、中国の地方に住む人々からすると、大量の数の漢字を、しかも正確に覚えるというのは非常に難しいわけです。加えて後述しますが、中国では地域によって方言が存在し、同じ漢字でも発音が違うといった事態が発生していたため、正直漢字を学ぶことの意味がそこまで重要ではありませんでした。画数が多く難しいので、費用対効果が悪いわけです。そんなこんなで識字率は悪い状況にありました。それではいけないと採用されたのがこの簡体字です。

 

よく、中国大陸は簡体字が使用されていて、台湾・香港そして東南アジアの一部の華僑コミュニティでは日本の漢字と似た「繁体字」が使われているのはなぜか、という質問を受けますが、そもそも簡体字が戦後になって大陸で使われるようになった、比較的新しいものだからです。そしてこの簡体字によって中国における識字率は上昇したと言います。

 

ここまで長たらしく中国の歴史の話について説明してきましたが、なぜこんなことを説明したのかというと、この歴史の話が、日本人が簡体字を勉強するにあたって重要だからです。

 

ここからわかることは、簡体字というのは、今まで使われていた漢字を簡略化したものであるということです。すなわち、簡体字も元を正せば日本の漢字と同じ、ということができます。ということは、当時の中国人が当時の漢字をどのようにして簡体字にしたのか?というパターン・法則性を理解することができれば、簡体字も日本の漢字の知識を使って簡単に理解することができる、ということになるのです。

 

中国語を勉強されている方の中で多く見受けられるのが、「簡体字が難しい」という意見です。しかしこれはある意味ナンセンスなのかもしれません。なぜなら、簡体字というのは、今までの漢字を簡略化したものであるので、我々が普段慣れ親しんでいる漢字よりも難しいということはありえないからです。どのように簡単にしたか、というパターンをつかむことができれば、簡体字は日本人にとってはとても簡単なわけです。

 

これも百聞は一見にしかずだと思いますので、以下中国語の文を紹介したいと思います。

广东省的经济规模已经超过了香港。快速成长的Tech产业是其中一个贡献。

汉语说得很难,但学习很简单。

この文章は私がパッと作成した文章です。ネイティブの中国語からすると少し違和感はあるのかもしれませんが、それでも中国人が見てわかるギリギリのラインで、なるべく日本語に近い文章にしています。

これで使われている簡体字は、以下の通りになります。

广东  经济规  经 过   。   长         产业     个贡 。

汉语说 很难,  习很简单

 

この簡体字比率は前回でも説明した45%ルールにだいたい当てはまるかと思います。さて、この簡体字を日本語の漢字に直すと、以下のようになります。

広東省的経済規模已経超過了香港。快速成長的Tech産業是其中一個貢献。

漢語説得很難,但学習很簡単。

どうでしょう。これなら日本人にも読めそうな文章に見えませんか?

 

ところで、簡体字の部分に注目してください。「簡体字は日本語などの漢字を簡略化したもの」と言われてみれば、なんとなくなるほどと思いませんか?簡体字や日本の漢字において、何かしらの部分を共有していたり、構造が似ていたりと、当たらず共遠からず的な形で推測もできるのかもしれません。ということで、簡体字と日本語の漢字で比較した時に、簡体字がどのように簡単にしたのかについてのパターンを説明したいと思います。

 

簡体字の作り方については、2つの考え方があります。それは「漢字のどこを簡単にするか?」というものと、「漢字をどうやって簡単にするか?」という2つです。

 

一つ目の「漢字のどこを簡単にするか」についてですが、これは漢字の構造を考えば答えはすぐに出ます。それは大きく分けて二つで、①漢字の全部か、②漢字の一部しかありません。日本人の誰でも知っていることですが、漢字には「へん」や「つくり」など、複数のパーツに分けることができます。簡体字も「へん」を簡単にしたり、「つくり」を簡単にしたりなど、一部分で簡単にする、という作業が見られます。これが②です。①については、漢字の中にもそうした「へん」や「つくり」などパーツに分けることができない漢字が存在します。例えば「車」という字には、へんもつくりもありません。こうした漢字には、全体を簡単にするという①のアプローチが取られます。ちなみに車の簡体字は「车」です。

 

二つ目の「漢字をどうやって簡単にするか」このパターンについては大きく分けて3つしかありません。それは、漢字の難しい部分を、①減らす②取る③変える、です。よくよく考えれば、何かを簡単に、すなわちコンパクトにするわけですから、増えることはありません。そうなると自然と上記の取り除くか、減らしてしまうか、いっそのことより簡単なものに変えてしまうか、の3つしか選択肢がなくなるわけです。

 

では、これらの3つについて具体的に見ていきましょう。

 

①減らす

これは、画数を減らすというものがあります。先ほどの例で言えば、「車」を「车」と変えるのは、車の真ん中の田の部分が画数を多くしてしまっているので、画数を減らそう、という意図で考えられたものと私は考えています。他にも、以下の例があります。

 

日本語の漢字 簡体字

「見」 → 「见」 *見の目の部分を一本に減らした

「門」 → 「门」*門の2つの日を減らした(日本語でもたまにこのように書かれる方いらっしゃいますよね)

「長」→「长」

「説」 →「说」*言偏(ごんべん)の画数が見事に減らされています笑

 

このパターンは、へんやつくりに使われる漢字によく見られます。上述した二つの漢字も、いずれもへんやかまえに使用されていますよね。

 

②取り除く

二つ目は、「その部分を取り除いても意味として通じるから、画数増えるのやだし思い切って取り除こう」というものです。これについては、以下の例があります。

「広」→「广」 *「ム」が見事に取り除かれています。ただこの广という部分、確かにほとんどの場面で「広」ですよね。

「業」→「业」 *下の部分が取り除かれています。これも、业を冠に使う漢字って、これぐらいしかないですよね。

「習」→「习」*取り除く例の究極型だと僕は思っています。习と白をとっても习习を冠に使う漢字って、これくらいしかないので、ここまでドラスティックにできたのかと思います。ちなみに、日本語には翌という言葉がありますが、中国語ではあまり使われません。

 

これら取り除くに共通するのは、非常によく使われる漢字で、へんやつくりの一部だけでだいたいその漢字だとわかってしまうもの、ということです。

 

③変える

これは、画数が多い漢字もしくは一部を、画数の少ない別のものに変えてしまおうというものです。残念ながらこの「どう変えるか」については統一されたパターンがないのですが、「難しいものを簡単にしている」という点では同じですので、それを掴んでさえすればある程度は推測できるかと思います。

 

この変えるについては、以下の例があります。

「過」→「过」 *寸という別の文字を当てています。

「漢」→「汉」*つくりの部分が、又になっています。

「個」→「个」 *もはや日本語にない文字です。しかしこの字、今でもスーパーでたまに使われている、個数を数えるときの「ケ」(1ケ 等)の由来だと言われています。

 

これらについては法則性がないので覚えるしかないのですが、一つ推測をするにあたってアドバイスがあります。それは、「変える簡体字は、熟語で覚える」というものです。これはどういうことでしょうか。簡体字は一つの単体の漢字として覚えるのではなく、他の漢字と組み合わせた熟語で覚えた方が格段に覚えやすいということです。そしてその際のルールは、①熟語で引っ張ってくる、②簡体字の「簡略化した部分」を一旦無視する、③そこで思い浮かぶ日本語の熟語を思いついて見る、③その中で、画数の多い熟語を選ぶ、というものです。こうすることで、高い確率で日本語変換することができます。

 

具体的に、上記の例を使って説明して見ましょう。例えば、过という漢字。過が过に変わったのですが、単体で見てしまうと、过から過に日本語変換するのは難しいです。では、上記のルールに従って日本語を推測して見ましょう。①で、まず过だけでなく、超过で引っ張ってきます。次に、②超と「しんにょう」だけをみて、日本語の熟語でどういうものがあるか考えて見ます。どうでしょうか?該当するものは、超過や超速ぐらいしか思い浮かびませんよね?そこで、③です。超過や超速の二つを比較し、どちらが画数が多いでしょうか?答えは超過となります。こうすることで、高い確率で正しい漢字を推測することができます。

 

なぜこのようなことが可能なのでしょうか?そこには二つの大きな理由があります。一つ目は、中国語と日本語の熟語はほとんど同じだというものです。確かに、中には中国語独特の熟語が存在したり、日本語で使われない漢字を用いた熟語が存在したりします。例えば已経というのは、日本語で「既に・もう」という意味になりますが、この熟語は日本語にはありません。ただ、ほとんどのケースは、日本語と同じ熟語が使われています。その確率はおおよそ50%程度でしょうか。

 

次に、前回紹介した「中国語の半分は日本語と同じ」というルールです。これに基づけば、2つの漢字からなる熟語において、2つとも簡体字である確率は「25%」となります。

 

ここからは確率の世界になりますが、この二つの事象は互いに背反していますので、日本人にとってお手上げのパターン、すなわち「中国語独特の熟語」であり、かつ「熟語に使われている全ての漢字が簡体字」となる確率は、50% * 25%で 12.5%となります。すなわち、上記のルールに従えば、90%近い確率で簡体字を日本語の漢字に変換することができるのです。

 

これを使えば、前回の記事で私が説明した内容と合わせて、次のことが言えます。

50% →「日本語と同じ漢字」

45% →「90%が解読可能な簡体字」=「約40%」

すなわち、90%が中国語を勉強したことがない日本人でも解読できる、ということになります。

 

いかがでしょうか?中国語を勉強していなくても、日本語の漢字の知識を使えば、中国語の漢字を理解することができるんです。嘘だと思う方、適当に中国のサイトを見てみて、上記で紹介したメソッドを使って解読にトライしてみてください。

 

では、では

 

 

 

 

 

 

中国語の漢字の95%は日本語と同じ

ということで、今回は中国語に一切関与したことがない人、もしくはどこかで中国語を見たことはあるけど全く知らないという人のために、「中国語と日本語が似ている」という天にフォーカスを当てて説明していきたいと思います。

 

皆様ご存知の通り、中国語は漢字が用いられます。ただ、中国語を知らない人からすると、「漢字といっても、中国語と日本語で使われている漢字は違うんじゃないか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。確かに、中国語と日本語は言語学上全く別のものになります。しかし、漢字だけにフォーカスを当てて見ると、実はかなりの点で親和性があるのです。

 

これは完全なる私の肌感覚ですが、ビジネスで用いられる中国語において、50%は日本語と中国語の漢字が同じだと言い切れます(あくまでも漢字という文字にフォーカスを当てています)。すなわち、日本語話者である我々は、何もしなくとも、中国語の半分がすでにわかったということになります。これはすごいことですよね。

 

じゃあ残りの半分は何かと言うと、45%は簡略化された、いわゆる「簡体字」というものです。これはおそらくどこかで見聞きした人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?中国では1950年代にかけて、元々の漢字を簡略化した簡体字というのが使用されるようになりました。ですので、一部の漢字は依然としてこれらの簡体字を採用しているのです。この部分が、巷でよく言われる「中国語と日本語で使われている漢字は違うんじゃないか?」という部分になります。

 

ただこの簡体字、実は法則を掴めば日本語の漢字に簡単に置き換えることができるのです。これを使えば、簡体字といえどもすぐに日本語の漢字として「解読」することができます。このメソッドについては改めて紹介したいと思います。

 

そして残りの5%は、残念ですが中国語でしか使われない漢字となります。ただここまで来てこう思った方もいるのかもしれません。「待てよ、半分が日本語と同じ漢字、45%が少し解読が必要だけど日本語の漢字を使って読める漢字。ということは、95%は日本語の漢字と同じなのか?そんなことはないだろう」

 

いや、実際にそうなのです。漢字という文字にフォーカスをすると、私の肌感覚では95%が同じ漢字だと言えるのです。

 

百聞は一見にしかず(ちなみにこれを中国語で書くと百闻不如一见と書きます。あれ、なんとなく読めそうじゃないですか?)。せっかくなので実際の中国語を見てみましょう。以下は今日の中国語の記事を引っ張って来たものです。少しじっくり見てみてください。

 

金融是国家重要的核心竞争力,是推动高质量发展的重要支撑,作为北京第一大产业,金融业不仅推动了北京经济持续平稳健康发展,也有力促进了北京的城市规划、建设和高质量管理。

 

これは中国の政府が発表したコメントの一文を持ってきたものです。確かに45%の「簡体字」が含まれていますが、半分だけでもなんとかわかりそうな気がしませんか?

 

ここで、日本語と同じ漢字と、簡体字と分けて見ましょう。

 

日本語と同じ漢字:

金融是国家重要的核心争力是推高量展的重要支作北京第一大金融不推了北京持平稳健康展也有力促了北京的城市建和高量管理 (56文字)

 

簡体字

竞质发为产业业仅动经济续发也进规划设质(19文字)

 

句読点を除き75文字のこの文章の中に、日本語と同じ漢字がなんと56文字も含まれていました。この文章では、実に75%が日本語と同じ漢字が使われているということになります。この引用元はニュースでしたので、比較的硬い文章が使われていますが、それになると日本語漢字とのシンクロ率はグッと高くなります。

(引用元:http://www.ce.cn/xwzx/gnsz/gdxw/201905/31/t20190531_32229852.shtml

 

続いて、以下の文章はいかがでしょう?これは中国版LINEであるWechatで、私の友人があげていた文章を拝借したものです。より話し言葉に近い文章となっています。

 

在MIT media lab上过Cynthia的一门容量超级大的课,从语言学到心理学,到app设计,3d动画,机器人,到非洲研究。那门课只有10个学生,但配了20个教授..当时半个学期就做了一个动画游戏的app出来教非洲小朋友学英语(因为同组有个media lab的大牛博士),可惜最后只是作为课程项目,并没有上线。

 

これも同じように、日本語と同じ漢字と、簡体字と分けて見ましょう。句読点とアルファベットは除きます。

 

日本語と同じ漢字:

在上的一容量超大的言学到心理学到画器人到非洲研究那只有学生但配了教授当半学期就了一画的出来教非洲小朋友学英因同有的大牛博士可惜最只是作程目有上(71文字)

 

簡体字

过门级课从语设计动门课个个时个做个动游戏语为组个后为课项没线(31文字)

 

どうでしょう。今回も70%近い漢字が日本語と同じでした。もちろん意図的に選んだわけではなく、ランダムに選んだ結果このようになりましたので、「どれだけ日本語と同じ漢字が使われているか」というのがおわかりいただけたかと思います。

 

では、少し背伸びをして見て、これを日本語訳して見ましょう。後述しますが、日本語で使われる漢字と中国語で使われる漢字については、熟語の場合ほとんど意味が同じです。ですので、日本語の知識を使って推測で言っても、7割近くはわかってしまうものなのです。

 

それでは一番最初の文章から。

 

金融是国家重要的核心竞争力,是推动高质量发展的重要支撑,作为北京第一大产业,金融业不仅推动了北京经济持续平稳健康发展,也有力促进了北京的城市规划、建设和高质量管理。

 

思い切って、簡体字を飛ばして見ましょう。これでもなんとなくわかるんじゃないでしょか?

 

金融是国家重要的核心竞争力 ー>金融 国家重要的な核心競争力

是推动高质量发展的重要支撑 ー> 推す高品質 展的な重要な支撑(=支え)

 

なお、この文章の日本語訳としては「金融は国家にとって重要な核心的競争力であり、高品質な発展を推進する重要な支えである」というものです。ほぼ直訳に近いですが中国語の硬い文章を日本語に直すとだいたいこんな形になります。

 

次に、我が友人の文章について、頑張って日本語の頭で考えて見ましょう。先ほど同様、ここでは簡体字には目をつぶって、日本語と同じ漢字だけを見て推測して見てください。そのあと、ひらがなで適当に助詞をつけて見てください。

 

当时半个学期就做了一个动画游戏的app出来教非洲小朋友学英语

 

ステップ1:当半学期 一動画app出来教える小朋友学ぶ英語

ステップ2:半学期で一つの動画appができ、小さな友人に教え英語を学んだ

正解となる日本語訳は、「当時半学期で一つの動画(アニメーション)ゲームのappを作成し、アフリカ(*非洲はアフリカの意味です)の子供たちに英語を教えた」

 

どうでしょう、当たらずとも遠からずと言った内容でしょうか?

 

ここであくまでも強調したいのが、中国語を全く勉強していない、中国語の知識を全く持たなかったとしても、日本語の考え方である程度文章を読むことができるという点です。もちろん、非洲がアフリカという意味であるということや、是というのは英語で言うところのbe動詞のようなものといった、必要最低限勉強しなければならないことはあるのですが、逆に言えばそのポイントさえつかめば、初学者でもある程度の文章を読み切ることは可能と言うことなのです。これってすごいことではありませんか?

 

文章が読めると言うことは、逆に言うと文章が書けると言うことになります。日本語の文章を書いた場合、半分近くは中国語として意味が通じるものになります。ここで思い出されるのが「偽中国語」と言うものです。

 

数年前に日本で「偽中国語」なるものが流行りましたよね。LINEなどのチャットで、あえてひらがなを省略し、中国語っぽく表現することでコミュニケーションをとる方法です。例えば、 「あなたは明日どこに行きますか。」を、「貴方明日何処行?」とか得るものです。もちろんこれは中国語ではありませんが、中国語の文語文(古い話し方)に似ているところがあり、違和感はあるものの中国人からすると理解をすることはできます。ちなみに正しくは「你明天去哪里?」です。

 

以上のように、漢字を知っているということは、中国語を勉強する上で大きなアドバンテージなのです。日本人は普段から漢字を使っていますので、日本人全員が大きなアドバンテージを持っていると言うことになります。この手を利用しないわけにはいきませんよね。

 

次に、45%である簡体字を解読する方法を説明していきたいと思います。

 

では、では