近藤大介『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』〜読書リレー(145)〜
1年前に日本の人口減を表した『未来の年表』という本が有名になりました。人口動態は他の統計と比較しても予測がしやすく、人口減の具体的なイメージを与えたこの本は少なからず多くの日本人にインパクトを与えたかと思います。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: 新書
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それにあやかったのか(?)、中国版『未来の年表』にトライしたのがこの本だと思います。講談社の北京事務所にも駐在の経験がある編集者であり、中国に精通した著者が、現在公開されている人口の情報をベースに、中国の状況を浮き彫りにした本です。ただし、『未来の年表』で取り上げられている、かなり具体的な未来予測とは異なり、この未来の中国年表は、どちらかというと今にフォーカスを当て、かつ対象も社会にとどまらず、ビジネスや政治といったエリアまで広げているため、中国現状の解説本として捉えた方が良いと思います。
ただし、内容としては非常に充実しており、かつ現状の中国をしっかりと捉えているため、中国を理解する上ではちょうど良い本かと思います。私も現在上海にいますが、現地の人々の感覚もカバーされており、間違いはないと思います。
そうした中で浮き彫りになってくるのが、日本とは異なる中国の未来の姿です。確かに、中国も今後高齢化社会に向けて突き進んで行きますが、人口減については高齢化と比べるとさほど問題として取り上げられていないような気がします。日本の場合は、どちらかというと人口減や生産人口の減少によって公共サービスなどの様々な弊害が発生する一方、経済も停滞していくというシナリオであり、高齢化よりも「縮小」していくことに危機感を感じている人の方が多いかと思います。一方、中国の場合は今後も経済の成長が見込まれるため、縮小という考えがなく、むしろ右肩上がりの未来を描いているような印象を受けます。もちろん様々な課題は存在していますが、それらを悲観的に捉えない考えがあるような気がします。
個人的には、この本を読み、比較対象としてますます日本の未来が不安になってくる、そんな印象を受けてしまいました。
では、では