芹澤健介『コンビニ外国人』〜読書リレー(137)〜

新書らしいトピックを扱った非常にバランスのとれた本です。

コンビニ外国人 (新潮新書)

コンビニ外国人 (新潮新書)

 

 

『コンビニ外国人』。これを見ると、大都市圏に住んでいる方はある情景を思い浮かべるのではないでしょうか?夜遅くに都心部のコンビニに入ると、店員は全て外国人。(それも、今までとは異なり、外見からして日本人とは思えないような風貌をしている人が多い。)レジに商品を持っていくと、意外なほど流暢な日本語を操り接客してくれる。そんな状態に違和感を感じつつも、なんとなくまあこんなものかと思ってしまう。そんな情景に対して一石を投じているのがこの本だと思います。

 

この本では、コンビニ外国人を切り口に、最近日本に着実に増えつつある外国人労働者にスポットを当て、彼らがどのようにしてコンビニでの仕事をするに至ったのか、そして社会全体としてどのような制度になっていて、どのような課題があるのかについて詳細に述べられています。テーマとして真剣に扱うのであれば、難民なども含めた国際社会学の範囲になりますが、この本はそんな堅苦しさや難しさを感じさせない、ソフトな構成になっており、非常に読みやすくなっています。

 

近年、外国人というと外国人旅行者にスポットがいきがちです。政府が長年目標としていた1000万人をゆうに超え、年々増加傾向にある外国人旅行客ですが、増えているのは外国人旅行客だけではないようです。外国人居留者もここ数年で2倍のペースで増加しており、日本は今急激な変化の中にいるといえるでしょう。

 

外国人労働者というと、あの憎き「研修制度」がありますが、それとは異なるパターンで、日本に就労する外国人が年々増えているという事実があります。日本がこれから人口減社会に突入していく中で、外国から労働力を取り込むということはいかにコントロールしようとしても抗いがたいトレンドになっているというのが現在の状況です。そうした中で、今の国内の就労状況といかにバランスをとりながら、うまく外国の就労者を取り込んでいくのかが今後の課題といえそうです。

 

 

では、では