欧州MBAに留学することにしました
唐突ですが、ある欧州のMBAプログラムからオファーをいただき、色々な人に相談して逡巡した結果、MBA取得のため留学することにしました。
日本の本屋のビジネス・経済の本棚でよく見かける「MBA」という三文字。Master of Business Administrationの頭文字をとったもので、日本語に訳せば経営学修士といったところでしょうか。1-2年のコースの中で、ビジネスに関する幅広い知識(経営戦略、マーケティング、リーダーシップ、ファイナンス、組織行動、会計)などを学びます。
日本では、MBAというとハーバードビジネススクールが圧倒的な知名度を誇りますが、もっとも信頼性が高いとされるFinancial Timesによる「Global MBAランキング」において、ハーバードビジネススクールよりも高い評価を受けている学校から運良くオファーをいただくことができ、天にも昇る思いだったのがつい先日のことです。(現時点では、具体的にどのスクールかは伏せておきます。いずれは公開する予定です。)
しかし、実際に留学するとなると、多大なるコストが発生します。まずは学費。MBAの学費は非常に高く、一年間あたり平均で800万円程度、また生活だけでも毎年200-300万円ほどかかります。しかもフルタイムMBAプログラムの場合、会社を休む・もしくは退職して授業を受けるために、給与がもらえません。もし会社員を続けていたであればもらえたであろう給与をサンクコスト(機会損失)として考えるのであれば、総合的な費用は2000万円以上という計算になります。これだけでも目玉が飛び出るぐらいの金額です。
また、MBAプログラムが対象とする「20代後半から30代前半」というのは、人生の中でもっとも働き盛りな年齢であり、その最中に社会の一線から退き勉学に努めるというのは、いってみればリスクの高い行為と言えます。特に昨今では、日米の株価が乱高下し、景気の先行き不透明感が増している状況です。こんな中で、のうのうと学生なんかできるのか?という不安がよぎってしまうわけです。
さらに、「そもそもMBAなんて行く価値あるの?」という議論もあります。MBAを取得し経営コンサルティングファームでトップを勤めた遠藤功氏ですら、「日本人にMBAはいらない」と断言しています。これは当時MBA受験の準備をしていた私にとって強いショックとなり、心が折れそうになりました笑
なぜ不要なのか。多くの日本企業ではMBAを必要としないからです。終身雇用・年功上列の文化が依然残る日系企業においては、経営人材を内部のプロパー社員から育て上げるという考え方が依然強く、MBAを取得したとしても意味がない、単に英語がうまいだけ、という認識に止まってしまっている、というのが現状です。
ただ、そうしたコストや不要論を考慮したとしても、最終的にMBA行きを判断したのはなぜか?理由はいくつかありました。
まずは、自分の過去の清算です。もちろん社外秘事項ですので詳しくは説明できないのですが、会社員として務める中で、私は数々の失敗をしでかしてきました。事業を大きくするというミッションのもとで、様々な新しいことに果敢にチャレンジしていたつもりだったのですが、ふたを開けると散々な結果に終わってしまったわけです。そうした経験の中で、自分の判断が正しかったのか、間違っていたらどのようにすべきだったのか、いわゆる「答え合わせ」がしたかった、という強いモヤモヤ感があります。それを解決するにはMBAで経営を勉強するしかない、というモチベーションに繋がりました。
また、様々な書籍にあたる中で、度々「日本的経営の問題」というトピックを目にすることがありました。ここ数年日本経済の元気のなさは、経営の失敗にきているのではないか、という論調です。それを、世界最高峰の大学で世界トップクラスのエリート集団の中で確かめてみたい、という気持ちがありました。
最後に、純粋にビジネスが好きだ、もっと探究してみたい、という想いがありました。私は学生時代、中国の深センの日系メーカーにインターンをしたことがあるのですが、そこでの経験が衝撃的でした。深センは今では「東アジアのシリコンバレー」と称され、テック企業が集積する一大都市ですが、私がインターン生として初めて赴いたころの深センは、まだ「世界の工場」としての機能が色濃く残る、発展途上の都市でした。そこの日系メーカーの工場にお邪魔することになったのですが、そこでは中国全土からワーカーが集まって共同生活をしていました。当時貧乏学生だった私は、そうしたワーカーの寮の一室を借りて寝泊まりしていましたが、彼らと接するうちに、「一人ではないみんなで、何かを達成することの喜び」というものを実感するに至りました。彼らは生まれも故郷も全く異なりましたが、一度仕事が始まると、そんなバックグラウンドの違いは全く関係なく、与えられた業務の目標を遂行するために、屈託のない笑顔でとんでもないチームワークを発揮していたのでした。そうした姿を目の当たりにし、ビジネスの面白さに気づいてしまったわけです。
まあ色々理由を述べましたが、ストレングスファインダーでは自分の強みとして真っ先に「学習欲」が出てきた私なので、結局は単純に何かを勉強したい欲が強いのかもしれません。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
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ということで、半ばコストと不安材料を度外視し、自分の「学び」に没頭するためだけに、この選択をしたわけです。ですが、MBAで学ぶというのは、なかなかできない経験出ることには間違いないので、このブログでなるべくアウトプットできればなと思っています。そして、MBAに関連した情報(MBA受験準備だったり、キャリア論だったり)という点についても、企業秘密に抵触しない範囲で発信できればなと思っております。プログラムが始まるのは半年以上も先のことですので、まずは読後論やMBA準備に関する記載がメインを占めることになると思いますが、末長くお付き合いいただければ幸いです。
では、では