だじりブログ

日々の読書から広がる考察

INSEADがMaster in Managementを始めたってよ。

 昨日正式にアナウンスがされていますが、INSEADがこの度新しいプログラムとして、Master in Managementを始めたようです。詳細は下記WEB参照。

 

https://www.insead.edu/master-programmes/mim

 

ビジネススクール間で競争が激しくなる中で、他の欧州スクールがMIMプログラムを充実させているところに焦りもあったのでしょう。MIMを作ることでプログラムにおいても、INSEAD十八番の「多様性」を出したようです。

 

そもそもMIMとは何か。私自身もよくわかっていないのですがただ一つ言える違いとしては「年齢」でしょう。MIMは社会人経験も1~2年と少ない学生を対象にしています。こうすることによって、MBAが「過去のビジネス経験をベースに実務の観点で議論をする」というところにフォーカスするのに対し、MIMは「実務とは少し距離を置き、学術的な観点で議論を進める」という違いを生み出します。そして卒業後のキャリアにおいても、INSEADMBAは比較的、「従来のキャリアを変える」ためのトランジションの期間の位置付けが強いのに対し、MIMは「キャリアの良いスタートを図る」という位置付けが強いのではないかと考えています。

 

ただ、個人的にはこのMIMというプログラム、かなり中途半端になるんじゃないのではと危惧しています。理由としては、MIMとMBAのバリュープロポジションです。INSEAD(とくにMBA)が評価されているのは、何よりも①ダイバーシティ(国籍・キャンパス)、②米国MBAとの平均年齢の面でのマチュアさ、③(MBAのみ)1年制、です。Executiveはとくに①が、MBAは3つ全てがプラスに働いています。というのもMBAの例で見る限り、「キャリアを変えるためにMBAに行きたい」と考える人にとっては、INSEADは米国MBA以上に魅力的な価値を持っています。しかし、MIMの場合、①は、MIMを必要とするのが現状欧州の学生にとどまっており、他の地域での価値の訴求ができていないという点で活きません。②③は、そもそもMIMは卒業後すぐの学生を対象にしているため、また1年制を前提としているため、年齢・プログラム期間の面で差別化を図ることもできません。それどころか、INSEAD MBAの若い学生がMIMに流れ、年齢のダイバーシティを損なう恐れがあることも考えられます。すなわち、MIMはバリュープロポジションを下げる可能性すらあるのです。

 

また、キャンパスのキャパシティの問題もあります。INSEADは、フランスとシンガポールがメインのキャンパスで、そこにくわえサテライトオフィスの色合いが強いアブダビが続きます。キャンパスが複数あるのは良いのですが、現状のキャンパスの大きさを見る限り、MIMは完全にキャパオーバーな気がします。特にシンガポールキャンパスは深刻で、Exective MBAが始まった際にはほとんどの会議室が埋まり、MBAのリクルーティング活動に弊害が生じるのも目の当たりにしてきました。

 

また、INSEADはいずれのキャンパスにも寮がありません。条件は違えど土地に限りがあるフォンテーヌブローとシンガポールキャンパス近辺で、さらに学生を増やしたらどうなるのか、学生生活の不満が高まりそうです。

 

とネガティブな内容が続きましたが、悪いことばかりではありません。最終的にはINSEADにとってMIMはビジネススクールとしてのブランド向上につながると個人的には思いますし、アルムナイネットワークが増えるというのもメリットと言えます。また、何よりも感心したのが、欧米ビジネススクールの中でもトップの地位にありながらも、INSEADが常に価値向上のために考え、動いているという点です。まずはMIMの成功を願いたいです。

 

では、では